新宿ピットインに、村井康司さんはじめ総勢6名でICPオーケストラを観に行く。私のお目当てはハン・ベニンク。このユニークなドラマーを初めて聴いたのは、FMPが日本に入ってきた頃だから、恐らく1970年前後のことだと思う。0030,0040,0050の3枚のアルバムに収録されたベニンクの、なんとも形容しがたいフシギなドラミングはいたく私の好奇心をかき立てたものだった。
満員のピットインにはこの手の「アヴァンもの」ご常連が勢ぞろい。ステージ脇でカメラを構える横井さん、ミュージシャンと商談?する沼田さんなど、皆さんお忙しそうなので挨拶はご遠慮する。
ミシャのピアノからさりげなく始まる演奏に、ベースと、スネアーだけのベニンクが加わると一気に「音楽」が立ち現れる。この辺りはさすが。圧巻はミシャとベニンクのデュオで、もう相当お歳のはずのベニンクの強烈なミュージシャン魂に圧倒される。
彼らの凄いところは「自分たちの音楽」をしっかりと持っていることだ。ミュージシャンだから当たり前のことのように思うかもしれないけれど、現状は「借り物」の音楽まがいでお茶を濁している人たちがいかに多いことか。
例のごとく、徳ちゃんの池林房になだれ込みワイワイやっていると、トリスタン・ホンジンガーとウォルター・ウィアッボスが現れる。声をかけると彼らはわれわれの席に合流。アマチュア・トロンボニストのY社長はさっそくウィアッボスに話しかける。
私と村井さんがホンジンガーにいろいろと質問すると、実に丁寧に答えてくれた。面白かったのは彼のウィレム・ブロイカー評で、ちょっとここには書けない。深夜、「もっと飲もうよー」と言い張る村井康司を後にし、チャリで帰宅。これ以上飲んだら明日の稽古に響きます。