今日は渋谷の「UPLINK」に、『REENTRY』というイヴェントを観に行った。これはジャズ・ミュージシャンと若手アーティストたちによる「音楽による異種格闘技」であるという。1週間に渡って行われるイヴェントの5日目を選んだのは、友人の山下邦彦さん(『ウェザー・リポートの真実』Rittor musicの著者)が、ピアニストの南博さんとトーク・ショウを行うからである。
 まず、「異種格闘技」であるところの作品『BOYCOTT RHYTHM MACHINE 2 VERSUS』制作現場の記録「断章5 半野喜弘 vs 菊地成孔」の映像が上映される。例のごとく菊地のしゃべりはめちゃくちゃ面白い。彼は、「即興異種格闘技」の対戦相手に指名されたコンピューター・ミュージック作家である半野さんと、どう渡り合うかについてロジカルかつインテレクチュアルに語る。菊地に言わせれば、半野さんの音楽は「箱庭」であるそうな。もちろんこれは、ユングの提唱した「箱庭療法」から取った比喩だ。
 続く山下さんと南さんのトーク・ショウも、主催者側の設定したテーマ「ジャズとジャズイディオムの社会性」からはかなり逸脱していたけれども、「日本人のジャズとは」など、なかなか含蓄のある話題が展開され、私はとても面白く聞かせていただいた。
 トーク・ショウが終わった山下さんとともに渋谷の飲み屋に繰り出し、ギョーカイ最深部に生息したTさんと山下さん共通の関係者「教授」についてのディープな会話に、同席したSさんと聞き入る。実はこれが一番面白かった。