11月26日(日)
早朝、NHK教育TVで大竹伸郎のドキュメンタリー番組を見る。「なるほど」というか「やはり」という発言が多く、ヒジョーに納得した。大竹さんはコンセプトから入るような作品を毛嫌いしている。それには大いに同感で、私も作家の「意図」みたいなものが透けて見える作品は、美術にしろ音楽にしろ大嫌いだ。
私見によれば、「概念」ないし「意図」なるものは言語による表現が一番正確に伝わるはずだし、言語化できない(あいまいな、あるいは未知の)「感覚」(大竹さんは確か「感じ」という言い方をしていたと思う)を伝えようとする試みが、音楽なり美術作品だろう(映画だって、プロパガンダ映画みたいなものはウンザリだ)。
インタビューアーの茂木健一郎さんが「スクラップブック」について、「文脈」という言い方で、さまざまな貼り付けられている素材相互の関係を説明しようとしていたけど、そういうものなのかなあ。
確かに「手術台の上のこうもり傘とナントカ」じゃないけれど、かつてのシュールリアリズムについての「解説」では、当たり前な“もの”同士の、文脈(関係性といってもいいかもしれない)による異化効果みたいなことが言われていたけれど、大竹さんの仕事というか貼り付けるエネルギーは、そうした「教科書的」(理念的)理解とはちょっと異質な感じがする。言ってみれば、スポーツ選手が毎日身体を動かしたくなる(身体的)衝動、みたいなイメージかな。

11月25日(土)
1時より朝日カルチャーセンターの講座を店で行う。タイトルは「ジャズ・レーベル徹底研究」の最終回、アトランティック編。あらためて、コルトレーンジャイアント・ステップス』、オーネット『ジャズ来るべきもの』と並べてみると、59年の時点におけるこのレーベルの先鋭な姿勢が浮かび上がってくる。
3時25分、質疑応答を終え直ちに営業開始、4時からの「連続講演」に備える。第321回目の演目は、シナトラ・ファンクラブ会長、三具さんによるシナトラ特集の2回目、キャピトル編。
1回目も良かったけれど、2回目はさらに聴き応えがある。中山康樹さんのマイルスとか、三具さんのシナトラ解説は、対象に対する愛と敬意、そしてもちろん十分な知識に裏付けられた説得力がある。集客も圧倒的でトータル45名。シナトラ・ファンクラブの動員かと思いきや、三具さんによると「ミクシィ」の威力が大きいらしい。
打ち上げはいつもの通り福翔飯店に総勢14名で押しかける。面白かったのは、その中に年は違うものの同じ誕生日の人間が3名もいたことだ。確率的にかなり珍しいことなのでは、、、それとも、ジャズファンになりがちな人間には偏りがあるということか。