1月1日(月)
この歳になると新年を迎えても特に感慨はない。とはいえ、還暦といーぐる開業40周年が重なるとなると、少しは思うところもある。20歳で、ほとんど先の見通しも無くジャズ喫茶を始めたとき、まさかこれが自分の生業になるとは思わなかった。しかし、結果として今でもこの商売を続けているところをみると、案外私に合っていたのかもしれない。
ジャズは今だに好きだ。過去の名盤、現在の新譜、それぞれ受け取る感動の種類は違うが飽きることは無い。マクリーンのプレスティッジ盤も、パーカーもドルフィーもジム・ブラックの新譜も、それぞれ与えてくれる満足の種類は違うけれど、気持ちのいい(というか、どきどきさせてくれる)音楽であるということでは同じなのだ。
新年の抱負めいたもの(だいたい果たされずに終わりがちなのだが)を言えば、今年は少し集中的にジャズマンの伝記でも読んでみようかと思う。こういう商売をしているのだから当然読んでいるのだろうと思われがちだが、私は二つの理由で人が想像するほどその手のものは読んでいない。
理由の一。音楽には興味があるが人生には関心が無いこと。パーカーのように破天荒な人物や、マイルスのごとく存在自体がジャズ史のような特別なミュージシャンは別として、やはりジャズマンは良い音楽を演奏するという事実が一番大きい。
理由の二。文献を読み込むと、人柄のイメージから逆に音楽を解釈する逆転現象を起こしかねないという危惧がある。これは「感覚から入る」という私のアートに対する基本姿勢に反する。
にもかかわらず、なぜ読んでみようかという気になったのかというと、理由の一は相変わらずそのままながら、理由の二が、これだけジャズを聴いてきたのだから、いまさら文献によって音楽から受け取るものが左右されることも無かろうと思いつつ、変わったら変わったでそれも面白かろうという気持ちによって、少しばかり変化を来たしたのである。
抱負の二番目は、(それなりの理由があるとはいえ)放り出しっぱなしになっているthinkの続きを、誤りを恐れず記述してみようということと、それに関連し、昨年のブログに少しだけ記した「新譜問題」についても、これもまた誤りを恐れず暫定的に思うところを書いてみたいと思う。
抱負の三番目はかなり現実的な出版計画だから、こういうところに書くまでも無いだろう。