10月20日(土)

八田真行さんによるチャールス・ミンガス特集、今回は作曲者としてのミンガスの魅力を大編成ジャズという視点から切り取った。前ふりで八田さんは「それほどミンガスが好きでは無かった」けれど「ビッグ・バンドものには好きなものもある」。その理由は「小編成では圧迫感を感じることがあるが、大編成ではあまり気にならない」とおっしゃる。
面白い視点だ。解説で「恐らくミンガスはアレンジ能力が無く、そのためビッグ・バンドでは彼の統制が巧く効かず、かえってそれが良かったのではないか」と分析していた。なるほど、と思った。確かに、臨時編成ということもあるけれど、ビッグ・バンドではスモール・コンボほどミンガスのアクというか、押し付けがましさが前面には出てきていない。
実を言うと私もその説には賛成で、ミンガスの個人的愛聴盤は今回最後にかけた『Cumbia & Jazz Fusion』であるとか『Music Written For Monterey』といったものなのだ。こうした聴き方は真性ミンガスファンからしたら邪道なのかもしれないが、「コントロールし切れていない」はずの大編成ものでも、ちゃんと彼の味が(濃すぎず)出ていると思う。
余談ながら、私はジョニ・ミッチェルの『ミンガス』やハル・ウィルナー、そして最近ではポール・モチアンのミンガス曲演奏の方に、本人の演奏より魅力を感じてしまう傾向がなきにしもあらずなのだ。だから八田さんの意見に納得してしまうのかもしれない。ともあれ、私としては大いに楽しめた。