2月8日(金)

元「ジャズ批評」編集長、岡島豊樹さんに誘われて、「ロシア・ジャズ再考」特別編「リトアニア・ジャズ特集」を聞きに、渋谷のアップ・リンク・ファクトリーに出かける。ゲストはヴィリニュス・ジャズ祭のオーガナイザー、アンタナス・ギュスティス氏。彼は若い頃のハリソン・フォードの顔を、ホンの少し横に拡大したなかなかいい男。
講演は新潟大学教授、鈴木正美氏の解説で始まり、チェカーシン、タラーソフ、ガネリンといった、一応名前は覚えているものの、具体的な位置づけまでは良く知らないリトアニア・ジャズマンたちの歩みがようやく頭に入った。続くギュスティス氏の話も、彼の自国ジャズマンへの愛情が伝わってくる興味深いものだった。聞くところによると、彼の話は先日ご紹介した吉祥寺のカフェ・ズミで11日にも行なわれるそうだ。今回聞き逃したファンは行ってみると良いだろう。
ところで、チャカーシンとタラーソフだったか、私と同じ1947年生まれで、ああこの人たちは同じ時代を、しかしソビエト連邦に繰り込まれたリトアニアで生きてきたのだなあと妙な感慨を抱いてしまった。リトアニアと言えば映画監督ジョナス・メカスの名が思い起こされるが、彼の名は本当は「ミョーナス」と発音するんだ、などという、どうでもいいことが頭に残ってしまった。以後彼のことは「妙な茄子」として、漬物を食べるたびに思い起こされることだろう。
そういえば、私の席の前にヨーロッパ・ジャズの本当の権威、星野秋男さんがおいでだったが、いつか氏にいーぐるでも講演をお願いしたいものだ。帰り際に、横井一江さんからアップ・リンクの支配人、鎌田英嗣さんをご紹介いただいた。彼はいーぐるにも来た事があるという、ありがたいことだ。