2月23日(土)

今日は久しぶりのオーディオ・イヴェント。たいへん面白く、そして疲れた。経験者ならおわかりいただけると思うが、オーディオの音質を聴き分けるのは、演奏の質を判断するよりはるかに集中力(というより別種の知覚と言った方が適切かも)を必要とするので、想像以上に神経が消耗する。だから私は店のオーディオ装置のチューニングは、1回1時間半を限度にしているぐらいだ。それ以上は感覚が麻痺し、正確な判断が不可能になる。
それにブラインドである。つまり今回のメインテーマであるSHM-CDだけでなく、SACDハイブリット盤であるとか、RVGリマスターであるとか、24ビットシリーズであるとか、とにかく、タイトルによっては4種類ものCDの音質の正体を隠して聴き、4段階評価を与えるというのだからたいへんだ。これを今回はマイルス、エヴァンス、スティング、スティーリー・ダンなど、ジャズ、ロック合わせて12タイトルおこなった。
当初、せいぜい良い悪い、あるいは好き嫌いの2段階、まあそれに加えてどちらともいえずの3段階ぐらいと予測していたが、実際は明らかに4段階に及ぶ音質の違いがあるのには驚いた。村井さんと田中さんの企ては、参加者全員にこの4段階評価解答用紙を配り、最後に回収してブラインドでの各CD評価を集計するという大変に興味深いものだ。その結果は後日村井さんから発表されるだろう。
私ももちろん回答したが、CDのセッティングをしながらなので、各タイトルを試聴した後に公開されたCDの正体があまりキチンと頭に入らず、後で教えてもらった一覧表に基づいて、自分が何を良しとし、どれを悪い音としたのかようやく分かったが、その結果には明確な一貫性は無かった。
最高点の二重丸を付けたものは、SHM-CDリマスター盤が2枚、SACDハイブリット盤が2枚、あとデラックス・エディション・リマスター盤、Dear Heart国内盤、Verve24ビット・シリーズ、紙ジャケ・リマスター盤、プレスティッジRVGリマスター盤がそれぞれ1枚づつ。
最低の×マークは、SHM-CDリマスター盤が2枚、SACDハイブリット盤が2枚、ルビジウム・クロック・カッティング盤、Verve24ビット・シリーズ、A&M国内盤が各1枚づつで、おわかりのように同じ方式でもアルバム、演奏内容によってまったく正反対の評価をしている。つまり、私の耳では方式による一貫した良否は聴き取れ無かったということだ。この結果は、後日発表される村井さんの参加者全員の集計結果と比べてみたいと思う。
疲れたとは言え、イヴェント自体は面白く大成功で、それを裏付けるように打ち上げは大盛況。「あなんじゅぱす」の公演チラシを持参してくれたひらたよーこさんも加わり、例のごとく福翔飯店へ。ちなみに「あなんじゅぱす」今回の公演は「タンポポ咲くソングラインに沿って」と題されたコンサートで、盛岡3月20日(木)「Jazz & Live 開運橋のジョニー」、仙台3月21日(金)「ヤマハ仙台店6Fホール」、そして3月23日(日)に吉祥寺「MANDA-LA2」で行なわれる。
総勢10名を越す宴会では様々な話題が飛び交い、このブログ上で情報交換したtommyさんにikkizillaさんを引き合わせたり、後から参加した八田さんが益子さんに北里さんの著書「サウンド・アナトミア」(青土社)に対する見解を表明したりと、とても全貌はつかめなかったが、古庄さんによる労作『Riverside Jazz Records』がついに出版されることとなったのは最大の朗報だ。
再び「いーぐる」に戻ってからも話は尽きず、特にtommyさんと須藤さんの情報発信ツールとしてブログを再考しようという提言は、今後真剣に考えてみる価値のある企てであると思った。