4月26日(土)

三具さんのナット・キング・コール特集ヴォーカル編、非常に素晴らしかった。私たちの年代なら、特に洋楽ファンでなくともキング・コールの歌は子供の頃ラジオで聴いている。そしてジャズファンとなってからは、ジャズ・ヴォーカリストとしてのキング・コールを再発見するわけだが、心のどこかに幼児期の体験に引きずられている部分がある。それは、ポピュラー・シンガーとしての彼のイメージとの微妙な齟齬である。
今回の三具さんの講演は、そうした無意識下のもろもろを吹き飛ばしてくれた。ジャズ、ポピュラーの区別など無意味なレベルでコールの歌は魅力的であるという、当たり前の事実を再確認させてくれたのである。これは、同じようにジャンルの区分けが無意味なところで圧倒的な存在感を示すフランク・シナトラを心から愛し、理解している三具さんだからこそ出来たことだろう。三具さん、感謝!
良い講演は良い連鎖を生む。ジャズ関係者ならご存知、元FM東京、現SSJの小針さんが5月31日にメル・トーメの特集をやってくれることになった。阿部ちゃんのハンク・モブレイしかりで、そのミュージシャンを好きな人がやる講演は必ず面白いのだ。
打ち上げも大いに盛り上がり、ジャズマニアたちならではの可笑しなギャグが飛び交う。小針さんが、私はポール・クイニシェットで三具さんはレスターと言ったとき、ニブい私はそれはちょっと差がありすぎる、せめてアル・アンド・ズートでしょ、などとトンチンカンなことを言ったら、すかさず村井さんが、バイス・プレジデントってことですよと適切なオチを教えてくれた。そう、小針さんはSSJのバイスなのだった。