5月8日(木)

長年店をやっているといろいろなトラブル、クレームが来る。もちろんこちらに非があることも多いが、ちょっとした行き違いが問題を大きくしていることもあるようだ。いま「いーぐる掲示板」をにぎわせている「ヘンな叔父さん」とのやりとりも、そうしたケースではなかろうか。
以前、いーぐる掲示板に「コーヒーの量が少なかった」というクレームが寄せられた。その時私は、「たいへん申し訳ありませんでした、おそらく不慣れなアルバイトが分量を間違えたのでしょう、改めて私からお詫びいたします」という主旨の謝罪文を掲示し、私としてはそれでご了承いただいたものと理解していた。
なぜそう書いたのかというと、私がカウンターをやっていれば、まあ、そうした手違いはありえない。常識から考えて、ヘンな叔父さんの言うように、お代わりを強要するためにワザとコーヒーをカップの半分にも満たない量しか出さない、などというヤヤコシイことをするわけがない。そんなことをすればたちまち常連のお客様方のクレームが殺到するだろう。それに、私は勤務中に「コーヒーの量が少ない」というお客様のクレームを受けたことはない。だから私の不在中の出来事と判断し、その旨書いた。
ところが、「ヘンな叔父さん」はそうは受け取ってくれず、私が意図的にコーヒーを少なくし、それをアルバイトのせいにしたとおっしゃるのだ。しかもその時私は店にいて店員と大声でしゃべっていたという。まあ、夜の時間帯は会話OKなので私たちも談笑することぐらいあるけれど、カウンターの中にいる私の声が客席のお客様の会話より大きいというのはどうも解せない。
常連さんならご理解いただけるはずだが、いーぐるはカウンター内で少々しゃべってもそれが店内にまで差しさわりがあるような店舗構造にはなっていない。百歩譲ってそれらが事実だとしても、その時ヘンな叔父さんがその旨おっしゃってくれれば、謝罪なりなんなり善処の仕様がある。しかしずいぶん後になって掲示板に書き込まれても、こちらはいつのことやら記憶になく、事実関係の確認すら難しい。
もうひとつわからないのは、そうした行き違い(ヘンな叔父さんは、ずいぶん前に書いた私の掲示板上の謝罪を受け入れていないこと)があったにもかかわらず、そのことを、そのコーヒー事件の時点では掲示板に書き込んでいない。だからこちらとしてはその件は終わったものとしていた。
そして、「ヘンな叔父さん」が「コーヒー事件」の当事者であることなど私が忘れた頃、再びいーぐる掲示板に含みのある書き込みを開始した。「含み」というのは、なにやら私のことを揶揄するような調子のことである。具体的にいえば、「折り合いが悪い」「距離感がある」などという言い方だ。
何かあったのだろうが、私はヘンな叔父さんなる人物がどういう人なのか知らないし(その時点で少ないと言っていただければ、お顔ぐらいは覚えていますよ)、まさかそれが済んだはずのコーヒー事件の当事者だとは気が付かず(まあ、最初に尋ねておけばよかったのだが)なるべく穏当な返答を繰返していた。そのことは「日本人のリズム感問題」などでの、私のいーぐる掲示板上でのヘンな叔父さんへの回答をお読みいただいた方なら分かっていただけると思う。
そしてその時はヘンな叔父さんも納得していただけたようなので、私の方では勝手に「距離感」なるものは相互のジャズ観の違いのようなことだったのかな、と想像していた。ところがヘンな叔父さんは相変わらず私に対する含みのある書き込みを繰返すので、いったい何がおっしゃりたいのかと質した結果が現在の掲示板上でのやり取りである。
改めて申し上げておけば、それをやったのが誰であれ、コーヒーの分量が少なかったのは明らかに当方の手落ちなのでお詫びいたします。しかし、お代わりを強要するためそういうことをしたのではないか、などというのはまったくの思い過ごしだし、アルバイトに責任転嫁というのもいささか心外な話です。そもそもその時「ちょっと少なくない?」と言っていただければ直ちにお取替えいたしましたし、「やかましい」とおっしゃっていただければ謝罪の仕様もあったというものではないでしょうか。