5月9日(金)

非常に後ろ向きな話なのだが、ネット社会ではちょっとした誤解、思い込みがとんでもない方向へ話をゆがめることもあるので、ここで過去の事件を再記述しておこうと思う。
今いーぐる掲示板上で話題になっている「痴漢氏」(仮にX氏としておこう)は、同じくいーぐる掲示板、および当ブログで話題になっている「ヘンな叔父さん」(以下H氏と略称)と同一である証拠は何もない。だからこれから書くことはH氏についての話ではなく、もっぱらX氏(私は本名を知っている)についての出来事である。
もう数年前になるかと思うが、X氏はいーぐる連続講演の際、彼の前に座っていた女性の足の間に自らの足を差し込んだ。まあ、痴漢行為である。私は非常に腹を立てた。痴漢行為は言うまでもないが、よりによってみんなが真剣にジャズを聴いているときに、同じジャズファンの女性に対しそういうことをするというのが許せなかったのである。そこでX氏を店から摘み出し、二度といーぐるの敷居は跨がせないと宣言したのである。
そのことをX氏は逆恨みしたのか、いくつかの出版社に「後藤というのは人間性において非常に問題のある人物である、彼のような人間の本を出版するのはやめべきだ」という手紙を出した。なぜそのことを知ったかというと、宝島社のTさんがその手紙の実物を見せてくれたからだ。また、その時風の便りに、私が本を出している他の出版社にも同様の手紙を出していることを知った。
聞くところによるとX氏は翻訳を生業としているようで、そうした関係から出版社とも関わりがあったのだろう。まあ、とんでもない話である。
話は前後するが、X氏は痴漢事件以前からの常連で、外見は枯れた老人。リクエストなどもよくし、私の見るところなかなかジャズの趣味もよかった。私も好きなリー・コニッツなどをリクエストしていたことを覚えている。
ところが、あるときから彼の行動の不審さに気が付いた。必ず女性客の近くに座るのだ。最初は偶然だと思っていたが、一回着席した後、女性客が来るとその近くに移動したりすることが何度かあって、これはおかしいと思い始めたのである。それから彼の行動を観察すると、つねに女性客を注視しているのだ。
もちろんこれは痴漢行為とはいえないが、見られているほうはあまり気分がよくないだろう。しかし、それだけでは文句も言えず、困ったものだと思いながらも、彼の来店を監視しつつ黙認という状況がしばらく続いた。そうしたときに冒頭の足入れ事件が起きたのである。これも私がマークしていなければわからなかったかもしれない。
まあ、実に下らない話だが、その後X氏がネット上に出没し、私に対する誹謗中傷を繰返していることを風の頼りに聞いた。しかしよくしたもので、一旦彼の行状がネット上でも露見してからは、「ああ、これは例の痴漢氏だ」という認識が一部のジャズ関係者には行き渡ったようで、まさにネットは両刃の剣であることを実感したものだ。