7月13日(日)

「アリナシ」「アリナシ」という声が盛んに飛び交う。アタマの中で考える。「蟻?」「梨?」。状況を眺め、ようやく理解できた。照明“有り”か、照明“無し”、なのだった。
午後1時30分から始まったTVクルーのいーぐる店内撮影、及び私のインタビューは延々続き、終了したのは午後10時をまわっていた。述べ9時間近く彼らの仕事ぶりを見ていて、久しぶりに気持ちの良いプロの職人魂を感じたものだ。
ハイビジョンということもあるのかもしれないが、実に丁寧かつ繊細に照明を調節する。さまざまなライト、リフレクターを駆使し、調整し、その都度はなれた位置に設置されたモニターを覗くディレクター氏が、照明をつけた状態と消した状態を観察することにより、照明の加減をセンチ単位で指示する。その際の照明さんに対する指示の声が、「アリナシ」なのだ。
私自身に対するインタビューは比較的スムースに進行したが、それでも2時間近く撮影していた。驚いたのは店内の撮影で、ターンテーブルやらアンプといったディティールを撮る段になると、わずか数十秒のショットのために30分近くも照明の位置やらカメラのアングルを微調整している。
下からあおるように撮る際は、レンズ無しで600万もするという業務用ハイビジョンカメラを、さながら小津映画の名キャメラマン厚田雄春特製「カニ足」のような低い三脚を持ち出し、這い蹲るようにして撮影している。
撮影を待つ間、モニターを覗かせてもらったら普段見慣れたはずのいーぐる店内がまったく違った風景となっている。実に面白い。そしてホンのわずかな照明の変化で、景色が立体的になったりのっぺりとした単調なものにしか見えなかったりするのだ。これじゃあやはり、あれだけ細かく指示を出す必要があるわけだ。
とはいえ、一般のTV番組ではこれ程丁寧な撮影はしないそうだ。だが、BS-iなどを見る層はキッチリ映像を作らないと満足しないという。なかなかコワい話だ。放映は8月5日(火曜日)午後7時から、観てください。