8月30日(土)

「耳が良い」ことで定評のある阿部ちゃんのデクスター・ゴードン特集。聴いているうちに、途中から「気持ちワルく」なって来た。かけるトラックが私の好きな曲ばかりなので、まるで自分が講演の選曲をやっているような気分になったからである。
たとえば、『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』(Bethlehem)。こういう作品はけっこうコワく、何をかけるかでその人のデックス観が見えてしまう。それを阿部ちゃんは的確にこのアルバムの目玉《ナンバー・フォー》で勝負。圧巻は後半のキメどころで、現在廃盤のため、あまり知られていないブラック・ライオンの『モンマルトル・コレクション』から、ロリンズに迫る名演《ソニー・ムーン・フォー・トゥー》。もちろんこれはサイド、ドリューの名演でもある。そして、これまた凡演も多いためちょっと視線から外れがちなスティープル盤から、的確に傑作『バウンシング・ウイズ・デックス』の《カタロニアン・ナイト》。もう、言うことナシです。
もっとも私の認識不足を教えてくれる選曲もあって、他のトラックがイマイチなので無視していたジャズランドの『ザ・リサージェンス・オブ・デクスター・ゴードン』から、バラードの聴かせる曲《ジョディ》。やはりちゃんと聴いている人はツヨイ。昔のジャズ喫茶ではこういう耳の良い人が一目も二目も置かれていたので、頭デッカチの能書き小僧など出てくる幕はなかったのである。
決まり文句ながら講演のレベルが高いと打ち上げも盛り上がり、ジャズがらみの話題、まったくもってバカバカしい最近の身の回りの出来事などをタネに、爆笑の連続。実のある話ももちろんあり、雲ちゃんに某雑誌での対談企画をお願いする。雑誌編集の実績のある雲ちゃんは事前に見事な企画書を用意してくれ、これで行くことがその場で決定。
また、以前から予告していたジャズ・サイトのデザイン等が本決まりとなり、実施手順の詰めが、技術部門責任者須藤さんと、編集部門責任者益子さんとで話し合われる。横で聞いていたが、ネット技術はちんぷんかんぷんのワタクシは、曖昧に頷くのみ。それでもプロジェクトは進んでいく、ありがたいことだ。須藤さん、益子さん、感謝!