4月18日(土)

ローズマリー・クルーニー、もちろん店にアルバムもあるし、けっこうよくかける。だがそれほど突っ込んで彼女を聴いたわけではない。正直、白人女性ヴォーカルはあんまり得意分野ではないので、個人的に好きな何人かのことしかよく知らないのだ。ちなみに私の好みはクリス、アニタ、そしてちょっと異色だがアーニー・ロスあたり。その次はというと、ジョニ・ミッチェルなどが頭に思い浮かぶんだから、推して知るべしだ。
だから今回の三具さんのロージー特集はいい機会だった。なんといってもその道の第一人者の講演は分かりがいい。三具さんに言わせると4時間はほしかったそうだけど、映像を交えたほぼ3時間弱の講演で、私はロージーに対する認識が大幅に改まり、聴き所もつかんだような気がする。「ストレートの直球勝負」たったそのひとことでロージーの特徴、魅力を正確に表現する三具さんは、やはりただ者ではない。
やはり映像の説得力は大きく、若いころの彼女を初めて見て、「きれいだけどうまい」と驚いた。少々ヒネくれた感想だか、長年の経験から「白人金髪美人系」は美人度と歌のうまさは反比例すると思い込んでいるのだ。また、言われてみて思い出したが、私たちが幼稚園児のころハヤった《カモン・ナ・マイ・ハウス》はこの人のヒット曲だったんですね。
三具さんの講演のお客さんは当然「80年代の100枚」などとは若干異なり、打ち上げメンバーもヴォーカル・ファンを中心に、今では珍しい「中間派」ファンなど、私のあんまり強くない分野の方々が参集される。これが面白い。40年ジャズ喫茶をやっていても聴いたことのない人の名前が頻発するのだ。イヤー、勉強になりますね。何しろこの方たちはよく聴いている。
たとえばロージーの歌がアレンジによってどう聴こえるか、変わるのか。ネルソン・リドルを例にした皆さんの白熱の議論など、実に面白かった。とはいえ、やはり男女を問わずヴォーカルを徹底的に聴き込んだ三具さんの具体的な説明は説得力があって、これからは私もヴォーカルを聴くとき、ちょっとはアレンジャーのことにも注意を払ってみようと思ったものだ。聴き手に発見をもたらす講演はよい講演だ。