5月15日(金)

ここ数日のモメごと、一切私に責任がないとは思っていない。どなたかが私に不満を抱いたのは事実だろうし、そうした自分の性格に思い当たるフシは多々ある。要するに、極端に物分りの悪い人、あまりにも情緒的な人に対しては、かなりあからさまな不快感を態度に表してしまうのだ。営業という観点から言えば、明らかに私に非がある。
そこで言い訳をさせていただければ、そもそもジャズ喫茶などという経済原則の狭間で何とか糊口をしのがせていただいている異端の業種に就いている人間に、ホテルマンのような完璧なホスピタリティを要求されてもいかがなものかということである。私はジャズには責任を持つけれど、サービス、接客については、「この店がお気に入りなら来てくださいね」という姿勢で40年間やってきた。
それが正しいのかどうか私にはわからないが、少なくともツブれずにきたという事実はある。もう少しホンネをいうと、音楽というある意味では「フラジャイル(壊れやすい)」な対象を商売にするには、勝手な言い草かもしれないけれど自分が疲れちゃったら、これはもうゼッタイに続かない。ある意味繊細すぎる同業の方々が、音楽以外のこと(接客、サービス)に神経をすり減らし、撤退せざるを得なくなった状況を私はこの業界でつぶさに見てきた。
「いーぐる」の営業姿勢は、そうしたジャズ喫茶界の不幸な過去の歴史を背景にして、手探りで見つけ出したものなのです。