8月8日(土)

サルサというのはどうやらソースという意味のようで、私が掲示板に書いた「サルサソース」は馬から落ちて落馬する、みたいな話でした。それはさておき、今回の伊藤さんの「サルサ&ラテン特集」、音楽を聴く上で大変良い経験になった。
と言うのも、私たちジャズ関係者は無意識のうちに「ジャズ聴き」をしているのですね。つまり、ラテン・ミュージックを聴くときも、意識せずジャズ的な聴き方をしている。それに気がついたのは冒頭の映像を見たとき。長年ジャズ喫茶を営んでいるけれど、自分で演奏したいと思ったことは、まあない。ジャズを知れば知るほど「あれは聴く音楽」という気がする(誰もパーカーみたいには生きられない)。
それが、サルサを演奏しているシーンを見たら、「自分も演奏してみたい」と思ったのだからオドロキだ。まあ、このトシだからトランペットは無理としても打楽器なんぞがいいですね(もちろんそれだってめちゃくちゃ難しいのはわかってますが、、、)。加えて、音楽に合わせて踊っているシーンを見たら、こっちまで踊りたくなる。要するにサルサはそういう音楽なのでした。
こういうものをジャズを聴くときのように、ソロがどうのこうのといった発想で聴くのはちょっと違うような気がする。それに気がつかせてくれたのは大きい。そして一度そうしたポイントを掴むと、後はすべて楽しく聴けるようになる。あまり良く知らないジャンルに接するジャズファンを対象としたイヴェントにおいて、こうした演出は非常に大事で、伊藤さんはそのあたりを実にうまく考えている。
質疑応答でも、伊藤さんはサルサの母体プエルトリコの話や、キューバ音楽との関係、そしてラテン・ミュージック全般に対する実に判りやすい解説をしてくれ、大変良い勉強になりました。これはぜひとも続編をお願いしたい。
話をサルサ&ラテンに戻すと、結局私が惹かれたのはリズムですね。要するに私は音楽のリズム的要素に非常に関心が高い。だから、ジャズも好きだし、まったく違うタイプのリズムだけど、アフリカ音楽も好きだ。極端な話、クラシックを聴くときも、リズムのノリが好みを決めているような気もする。グレン・グールドの弾くバッハなぞ、私には非常にジャズ的に聴こえるのは、リズム感が関係しているように思えるのです。
当然打ち上げも楽しかった。実を言うと、伊藤さんのことは何十年も昔、彼が上智ニュー・スイング・ジャズ・オーケストラ(なんと、村井さんの後輩)の頃から知っていて、その頃伊藤さんは私にニュースイングの公演の広告を取りに来たと言う。そうした懐かしい思い出話ができるのも、長年ジャズ喫茶をやっていたからこそ。とにかく楽しい一日でした、伊藤さんありがとう!