9月19日(土)
何事も3度やれば見えてくる。おおしまさんによるケルト・ミュージック、最初は「へえ、こういう音楽もあるんだ」で、2度目の映像編でかなり具体的な感触が掴め、そして今回「ケルトの世界へ〜スコットランドブルターニュの音楽のジャズ的展開」では、ようやく純粋に音楽として楽しめるようになった。
もちろん、ケルト音楽ファンが聴いているようなレベルではないだろうが、自分なりにこの音楽の面白さが見えてきた。それは「声」と「リズム」である。なんだ、結局ジャズと同じ聴き方をしているんじゃないかと言われればそれまでだが、私にとっての取っ掛かりは、今のところそこだ。
などと話しつつ、終わった後気に入った音源をマークしたリストをおおしまさんに見せると、エレクトリックがいいんですね、と言われた。自分ではその部分は意識していなかったけれど、どうやらその手のサウンドが持つ「リズムの切れ味」が私の好みに大きく反映しているみたいだ。
そしてなんといっても圧巻だったのは「Salsa Celtica」。信じられない組み合わせだ。つい最近、素晴らしい講演を伊藤さんにやっていただいた情熱的南国の音楽サルサと、相対的に「北方の音楽」のイメージがあるケルト・ミュージックが合体したもの。メロディがケルトで、リズムとヴォーカルがサルサという最初の説明ではそんなことができるの、と思ったけど、音を聴いて驚いた。これが奇跡的にうまくいっちゃっているのである。
こういうものを聴くといろいろと想像力が刺激される。中村とうようさんの名著『大衆音楽の真実』(ミュージック・マガジン)によれば、ジャズを含めた近代の「ポピュラー・ミュージック」は大なり小なり混交音楽であるそうだが、その優れた実例を見せられた思いだ。
毎度のことだが良い講演の後の酒は旨く、福翔での会話も幅広い音楽ネタで大いに盛り上がる。今年の「いーぐる連続講演」はアイリッシュに始まり、韓国ジャズ、ジャンプ・ジャイヴ、アメリカン・ショービズの世界、サルサ、アフリカとかなり守備範囲を広げたが、明らかにその成果が現れている。この方針は成功のようだ。
後藤お気に入りリスト
Alyth McCormack, Mar a tha from AN LOMALL = The Edge
Tony McManus, Mornings At Bonny Doon> Janine’s Reel> The Liffey Banks from POURQUOI QUEBEC?
Martyn Bennett, Oran nam mogaisean (Indian moccasin song) from GLEN LYON
Salsa Celtica, An Calleach = The Hag from EL CAMINO
Fernhill, Whilia from NA PRADLE
Kate-Me, Apprends-Moi ton Langage from KATE-ME
Les soeurs Goadeg, Konskried Sant Nicolaz-Les conscrits de St Nicolas from MOUEZIOU BRUDED A VREZ