1月8日(土)

このところ数年、『いーぐる連続講演』新春第一弾は原田和典さんにお願いしている。原田さんのイヴェントはいつも前向きで勢いのいい選曲なので、新年を迎えるのに最適なのだ。
今年も「ジャム・セッション特集」をお願いしたが、期待通り、ジャズならではの魅力を再確認する、素敵なものだった。

レギュラー・グループではないジャズマンたちが、臨時に集まって演奏するジャム・セッション。歴史的には、一日の仕事を終えたミュージシャンたちが無料で提供される食事目当てに集まり、自然な成り行きで演奏を始めたといわれるクラブ・ミントンズ・ハウスの深夜のセッションが有名だ。

今回も当然《スイング・トゥ・バップ》と名付けられた(もちろん適当な「後付け」の名称だ)チャーリー・クリスチャンの演奏が披露されたが、いまさらながらクリスチャンのセンスの良さに感動。また、少なくなった「現代のジャム・セッション」の実例としてクリスチャン・マクブライトの「近代的ジャム」が最後に紹介されたが、これがけっこう面白いのだ。さすが原田さん、目配りが行き届いている。

ところで、ジャム・セッションばかり続けて聴くという経験は初めてだったので、いろいろと思うところがあった。まず、なんとなく「似たようなもの的ニュアンス」で捉えていたライヴとジャム、当然ながら違うのだ。

原田さんが的確な解説を加えていたが、ノーマン・グランツのように、「本来売り物でない」ミュージシャン同士の楽しみ的演奏をレコーディングしてしまったものもあるが、基本的にジャムは「内輪」のものだったはずだ。それに対し、(レギュラー・グループの)ライヴは、レコーディング条件などのため「ラフ」であることもあるが、オフィシャルというか、ミュージシャンたちの音楽性は彼らの「本来のもの」だ。

だから当然、例えばパーカーやマイルスの「ライヴ」は、ラフでもスリル満点なものがあることが知られているが、ジャムの聴きどころはむしろ「内輪」のコージーな感覚ではなかろうか。こうしたことも関わるのか、ジャム・セッションを楽しむに場には、アルコールが似合っていると思った。