6月11日(土)

久しぶりの映像特集は林さんのローランド・カーク。ちょっと間が空いていたのでセッティングに少々手間取るが、無事にスタート。やはり大画面で見る「動くカーク」は迫力がある。

ほぼ年代順に見ることによって、カークの音楽の変化、そして「体格」「ファッション」の変遷も同時に実感できるが、これが面白い。ハードバップ時代のオーソドックスなスーツから、次第に大胆というか無国籍風ファッションになるところや、どんどん身体が大きくなっていくように見えるところなど、フムフムと納得してしまった。たまたまだが高校生の頃来日コンサートを見ているので、その思い出とも重なって懐かしい。

しかし映像の一番の見所はマンゼロ、ストリッチといった一風変わった楽器の実物が見られることと、各楽器の音色の特徴、そして複数楽器同時演奏の実際をリアルに観察できるところだろう。CDだと、当たり前のように1本から3本に吹き変えたように聴こえるところも、間際まで手で楽器をまさぐり、ギリギリだけど一瞬の遅れも無く3本の楽器を口に咥えるところなど、まさにスリリング。

そして、サイドマンに手を引かれライヴ会場を一周する様子や、晩年の定番「椅子壊しパフォーマンス」なども映像でなければその実態には触れられない。カークのようなタイプのジャズマンはもう出ないだろうが、映像が残っていることでようやくわかることが、彼の場合はずいぶんとあることが実感された講演だった。