4月30日(火)
com-post編集長、村井康司さん、com-postメンバー、益子博之さん、柳樂光隆さんらとブルックリン・パーラーに菊地成孔、大塚広子のDJ対決を見に行く。どうやら本日はお互いに相手のかけたトラックにつけて相互に選曲する「back to back」というスタイルらしい。パーラー入り口には定刻前から長蛇の列。お二人の人気の高さが知れる。

ちょっとDJブースから離れた位置だったので、厳密に今どちらがかけているのかわからないときもあったけど、ジャズで言えばジーン・アモンズソニー・スティットのテナー・バトルのように、どちらの選曲も気持ちよく、かつ相互に違和感が無い。さすが本職のテクニックはうまいもの。

村井さんと二人で「ブラインド」に挑戦するも、わかったのはオーネット、マイルス、ダイナ・ワシントンぐらいのもので、あとは「良くわからないけど気持ちの良い音」が適宜メリハリをもって流れ、たいへんコンフォタブル。で、ワインの本数も思わず上がり、エンディングでは皆さんご機嫌状態。終了後、菊地さん大塚さんにみんなで挨拶に行き、記念撮影。翌日にはもうツイッターに複数のポートレイトがアップされ、情報スピードの早さに驚く。

例のごとく新宿の街に村井、柳樂さんらと流れ、いつもは明け方3軒目、あるいは4軒目の文壇バー「風花」に行く。ここの女主人は実に上品で、僕らのような「怪しい」客にもていねいに接してくれ、気持ちが和む。われら3人の話題はもっぱら音楽。

フト、壁面を見上げると、実に素敵な抽象画が掛かっている。いつもは酔眼朦朧で見逃していたのだろう。パステルを使用したらしいほとんど無彩色でホンのわずかに褐色があしらわれた画面は、見るほどに想像力が喚起される。ご主人に謂れを尋ねると、ご常連の画家、松本陽子氏の作品とのこと。2009年には「新美術館」で個展も開催されている。その際の出展目録も見せていただいたが、どの作品も私好み。連休中にでも「新美術館」に赴き、目録の在庫が無いか問い合わせてみよう。

こういうお店は、作家さんはもちろんのこと、「その道の大家」が何気にカウンターに席を占めておられ、村井さんにご紹介いただいた元新潮社「校閲の神様」矢彦氏から実に貴重かつ興味深いお話しをうかがう。有名なケン・フォレットの『大聖堂』(新潮文庫)中の「矛盾点」など、まさにミステリーのよう。

徒歩での帰途中、禁断の「夜明けのラーメン」を食べ、翌朝体重計の冷徹な数字に身震いする。