5月22日(金曜日)

中等部のはるか後輩、中川ヨウさんのプロデュースする菊地成孔のライヴを渋谷JZ Brat村井康司さんと観る。菊地さんのライヴは何度か観ているが、ヴォーカルをメインとしたステージは初めて。果たしてどんなものかと思いきや、彼のラップ、なかなかのものでした。

たまたま体調を崩したとかで最初は成り行きが危ぶまれたが、彼ならではのサービス精神を発揮、独特のステージ・トークで観客を和ませるうち、次第に本人の調子も上がったよう。とりわけ彼の真骨頂、「語り」の面白さをそのまま生かしたラップはリズム感といい、ことばの選択といい、彼ならではのエスプリを効かせた「キャッチ=22」など、ジャズマンの余技とは思えないほど。ゲストに呼んだ二人の本職ラッパーと比べても、遜色なし。これは正直驚いた。

もう一つの収穫は「ものんくる」の吉田沙良。ゲストとして登場したときはファッション・センスこそ抜群だけど、ちょっと細すぎる身体つきで果たして歌のほどはと ? マークが付いたものの、聴いてみるとこれがかなり良い。ちゃんと彼女なりの「歌」の世界を表現している。体調を崩したので「援軍」を呼んだのか、そのあたりの事情は知らないれど、菊地さんのセンスが良さが現れた人選。

メンバーの中では、先週も大塚広子さんのプロデュースするラテン・バンドで観た坪口さんのキーボードが光っていた。彼、いろいろなバンドで活動しているんですね。ともあれ、亡くなったジャズ評論界の大先輩、油井正一先生のアーカイブをボランティアで管理する中川さんの名プロデュースぶりや大塚さんの活躍、そしてアオラ・コーポレーションの高橋めぐみさんの素敵な講演など、このところ女性陣の優れた音楽活動に大きく啓発される日々が続いています。

お決まりの2次会は渋谷のLi-Po。ポール・マッカートニーのライヴを観て一念発起、スリムになろう朝食後何も食べなかったのが効いたのか、私はかなり酩酊気味。でも相変わらず素敵な伊藤さんは、私と村井さんの「ヨッパライ老人コンビ」を優しく見守ってくれたのでした。いつ来てもここはいい店です。