4月13日に行われた小針さんによる第658回「いーぐる連続講演」

 

『万能の巨匠・アンドレ・プレヴィン(1929~2019)』

 

の選曲リストです。

 

 

    解説・選曲    24JazzJapan 小針俊郎

 

1            Sweet Lorraine                            Art Tatum, pf.                                   

2            So in Love                        Howard Keel, Kathryn Grayson, voc.

                                                      Andre Previn, cond. MGM Studio Orchestra

3            They Can't Take That Away From Me                 July London, voc.,

                                            Orchestra arr.& cond. & pf by Andre Previn

4            The Man I Love                            Dinah Shore, voc., w. Andre Previn Trio                         

5            Control Yourself                     Doris Day, voc., w. Andre Previn Trio                             

6            I've Got the World on a String                          Andre Previn & his Orchestra                                        

7            Pine Apple Rag                           Itzhak Perlman, vln.,  arr., Andre Previn, pf.                              

8            Nice Work If You Can Get It               Ella Fitzgerald, voc., w. Andre Previn

                                            Niels-Henning Ørsted Pedersen, b.

9            Concerto for Piano and Orchestra #24             Andre Previn, pf., cond., Wierner Philharmonker

              in C minor K.491 3rd Mov. Allegretto                

10           Concerto for Piano and Orchestra in F              Andre Previn, pf., cond.,  Pittsburgh Symphony Orchestra

              1st Mov. Allegro                 

11           Variations on an Original Theme, Op. 36           Andre Previn, cond., Royal Philharmonic Orchestra

              "Enigma" #9 Nimrod (Adagio)                       

12           Cotton Tail                                  Andre Previn Trio                              

13           I Gor Rhythm                             Andre Previn, pf., David Finck, b.

14           Things Ain't What They Used to be                   Andre Previn, pf., David Finck, b.

15           The Seahawk/Main Title/Reunion                       Andre Previn, cond.,London Symphony Orchestra         

16           Dance Jazz Feeling                               Anne-Sophie Mutter, vln., Andre Previn, pf.

17           I've Grown Accomed to Her Fave                     Rex Harrison, voc. Andre Previn, cond., Warner Bros. Studio Orchestra

 

【10連休中臨時営業のおしらせ】

 

5月の10連休中、下記の予定で営業時間を短縮し臨時営業いたします。東京見物の折ジャズ喫茶探訪をしようという方、ぜひどうぞ。

 

また、18:00までは会話をお断りしているので、大音量でジャズに浸りたいけど昼間は勤めがあって行けなかったという方も、この機会にぜひお越しください。

 

 

4月30日(火曜日)

5月1日 (水曜日)      14:00~23:00 (22:30 L.O.) 営業

5月2日 (木曜日)

 

なお、従来通り、下記の休日・祝日・振替休日は休業いたします。

 

4月29日(昭和の日)

5月3日 (憲法記念日)    休業

5月6日 (振替休日)

 

 

                          ジャズ喫茶 いーぐる

● イヴェント告知

 

  • 4月20日(土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代金

 

「レコードコレクターズ」2019年5月号連動企画

「1969年のジャズを聴く〜ジャズの50年は長かったのか?」

 

雑誌「レコードコレクターズ」5月号の特集は「1969年の音楽地図」。各ジャンルの音楽について、69年を代表するアルバムを選定・解説し、あわせて69年のそのジャンルの状況を俯瞰する特集です。ジャズ部門を担当した村井康司が、69年にリリースされたアルバムを紹介しつつ、50年前のジャズと「今」のジャズの関係を探ります。

 

出演:村井康司(音楽評論家)

 

 

 

 

 

  • 予約開始

 

『ジャズ講談とライヴ映像でカークに酔え!』

 

5月11日(土) 開場:14時 開演:15時 終演:17時頃 進行:林 建紀

予約制(メール申し込み、詳しくは後述) 全席自由席(来場順)

入場料:2000円(税込) 当日、受付でご人数分をお支払いください。

飲食代:別途 退場時にレジでお支払いください。

 

第1部 ライヴ映像 「ローランド・カーク・ライヴ・アット・モントルー1972」

第2部 ジャズ講談 旭堂南湖ローランド・カーク一代記」

 

第1部では数あるカーク・ライヴの最高峰であるばかりかジャズ史上の傑作ライヴとして名高いライヴ映像「ライヴ・アット・モントルー1972」をノーカット(50分)でご覧いただきます。カークの疾風怒涛のパフォーマンスを迫力の大画面とサウンドでご堪能ください。

 

第2部では関西講談界の雄、旭堂南湖先生をお招きしてジャズ講談「ローランド・カーク一代記」を関東では初上演となるロングバージョン(30分)でお聞きいただきます。卓越した話芸により活き活きと描き出すカークの波乱の生涯をお楽しみください。

 

※開場から終演まで全面禁煙(紙巻きタバコも電子タバコも)とさせていただきます。

 

【ご予約】

※定員になり次第締め切りますので、必ずご予約ください。

※メールの件名に「イベント予約」、本文に「ご氏名、フリガナ、ご人数」をご明記のうえ、

 infotec@cyber.ocn.ne.jpまでご送信ください。12時間以内に予約確認メールをご返信します。

※12時間以内に返信のない場合は送信先/送信元アドレスや受信拒否設定をご確認ください。

※予約に関する当店へのお問い合わせはご遠慮ください。

 

 

いーぐる  新宿区四谷1-8ホリナカビルB1F 3357-9857

  • 4月13日(土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代金

 

『万能の巨匠、アンドレ・プレヴィン(1929~2019年)』

 

何でも器用にこなす人を「職人」と呼んで蔑む風潮が日本にはある。映画音楽からオペラまで、ジャズ・ピアノからモーツァルトの協奏曲まで向かうところ敵無しというアンドレ・プレヴィンは、こうした無理解な、逆に言えば聴き手の偏狭さ故に過小評価されてきた傾向無しとしない。

2月28日に89歳でアンドレ・プレヴィンが亡くなった。

今月6日に90歳を迎える直前だった。

18歳でハリウッドの大手映画会社MGMの音楽スタッフとなり、1950年代にはジャズ・ピアニストとして活躍。ピエール・モントゥーに指揮を学び、1967年にクラシック界にデビュー。アメリカ国内をはじめ、ロンドン、ウィーン、ベルリンなどヨーロッパ一流のオーケストラで

指揮者、ピアニストとして活躍。

作曲にも秀で、オペラ、歌曲集、ヴァイオリン、チェロ、ギターのための協奏曲等を残した。

連続講演では彼のこうした万能ぶりを、ジャズ演奏、映画音楽、クラシック・ピアノ管弦楽指揮、エラ・フィッツジェラルドをはじめとするヴォーカリストとの共演を聴き明らかにしていく。

映像はコール・ポーターのミュージカル『絹の靴下』、アカデミー賞ミュージカル編曲賞を獲った『マイ・フェア・レディー』の一部をご覧に入れる予定。

プレヴィンがジャズを含む幅広い音楽に残した業績を顕彰し追悼の会としたい。

 

解説  小針俊郎

 

 

 

  • 4月20日(土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代金

 

「レコードコレクターズ」2019年5月号連動企画

「1969年のジャズを聴く〜ジャズの50年は長かったのか?」

 

雑誌「レコードコレクターズ」5月号の特集は「1969年の音楽地図」。各ジャンルの音楽について、69年を代表するアルバムを選定・解説し、あわせて69年のそのジャンルの状況を俯瞰する特集です。ジャズ部門を担当した村井康司が、69年にリリースされたアルバムを紹介しつつ、50年前のジャズと「今」のジャズの関係を探ります。

 

出演:村井康司(音楽評論家)

 

 

 

 

 

  • スペシャルイベント予告 4月11日予約受付開始

 

 

『ジャズ講談とライヴ映像でカークに酔え!』(仮題)

 

5月11日(土) 開場:14時 開演:15時 終演:17時頃 進行:林 建紀

予約制(メール申し込み) 全席自由席(来場順)

入場料:2000円 当日受付時にお支払いください。

飲食代:別途  退場時にレジでお支払いください。

 

第1部 ライヴ映像 「ローランド・カーク・ライヴ・アット・モントルー1972」

第2部 ジャズ講談 旭堂南湖ローランド・カーク一代記」

 

第1部では数あるカーク・ライヴの最高峰であるばかりかジャズ史上の傑作ライヴとして名高いライヴ映像「ライヴ・アット・モントルー1972」をノーカット(50分)でご覧いただきます。カークの疾風怒涛のパフォーマンスを迫力の大画面とサウンドでご堪能ください。

 

第2部では関西講談界の雄、旭堂南湖先生をお招きしてジャズマンの伝記「ローランド・カーク一代記」をロングバージョン(30分、関東初上演)でお聞きいただきます。卓越した話芸により活き活きと描き出すカークの波乱の生涯をお楽しみください。

 

【ご注意!】

※連続講演とは異なりメールでのご予約が必要です。

 4月11日(土)予約受付開始 当日、アドレスを本掲示板と店主のブログでお知らせします。

 予約に関する当店へのお問い合わせはご遠慮ください。

※開演中は休憩時間も含め全面禁煙(紙巻きタバコも電子タバコも)とさせていただきます。

●今週末に行われるイヴェントの内容が事前に公開されましたので、お知らせいたします。これはブラック・ミュージック・ファン必聴イヴェントですね!

 

『今聴いてほしいブルース/ソウル/ファンクのメッセージ・ソング』

第657回いーぐる講演 2019年3月23日(土)15時半から 

解説者:高地明、佐藤英輔、濱田廣也(BSR編集長)

 

 

▶︎a) イントロダクション 「初めてブラック・ミュージックのメッセージを強く感じた曲」

1.The Persuasions / Buffalo Soldier(1972年) (Capitol ST-872) ★高地

 バッファロー・ソルジャーとは19世紀にアリゾナとメキシコ国境地帯で任務についた黒人兵隊で、その姿を誇り高く歌う。このアルバムが東芝EMIから国内盤発表された72年に、中村とうようがニューミュージック・マガジンのレコード評で大絶賛し、ストリート・カルチャーとしてのアカペラに大きな注目が集まった。オリジナルは名門ドゥーワップ・グループのザ・フラミンゴス70年作品。

2.Howlin' Wolf / Watergate Blues (1973年) 『The Back Door Wolf』(Chess PLP-844) ★佐藤

 “歌詞なんかどうでもいい”派のスタンスをずっととっておりました。が、この時事ネタ曲には、後追いで聞いておやと思わせられた。“皆、ホワイト・ハウスの奴らの話を聞いたかい?/世界中が知っているよ”と歌われるこの曲を聞いて、半径1キロ外のことを歌うブルースもあるんだと頷いた記憶あり。作者はウルフの曲をいろいろ書いている(BSR誌本特集では、彼の「Coon on the Moon」が紹介されている)サックス奏者のエディ・ショウ。彼はウルフのバンド・リーダーとマネージャーを務めていた。この米国を揺るがす政治スキャンダルはこれを題材とする映画をいくつも生んだのに、カントリー歌手のトム・T・ホールの同名曲(1973年)やフレッド・ウェズリー&ザ・JBズの「Rockin’Funk Watergate」(1974年)などはあるものの、この事件を扱った曲をぼくはあまり知らない。本曲は、ニクソンが辞任して10日以内に即録音された。

3.SYL JOHNSON / Is It Because I'm Black (1969年) 『Complete Mythology』(Numero 032)★濱田

「初めてメッセージを意識した曲」ではないかもしれませんが、タイトルから強い衝撃を受けた曲です。法の上では差別は解消されても現実は全く変わらず、貧困に苦しむ人々。「俺が黒人だからなのか」との問いは「俺はひとりの人間だ」という不屈の宣言でもあります。69年暮れから70年初頭にシングルヒットした曲ですが、今回は7分超のLPヴァージョンを聴いていただきます。

 

▶︎ b) 1920〜40年代 ブルース、ジャズ等、公民権運動が盛んになる前の曲

4.Charley Patton : Tom Rushen Blues (1929年) ( Paramount 12877 / Yazzo LP 1020) ★高地

 ミシシッピ・デルタ・ブルース最重要人物による、農園で働く黒人に対して実際に起こった白人保安官による不当な扱いを歌ったもので、怒りを持って訴えるというよりも、物語として淡々と伝えていく。ブルースが同胞への情報伝達、そして喚起の手段となった最初期の名曲だ。

5.Billie Holiday / Strange Fruit(1939年) 『Billie Holiday』(Commodore UCCC-3008)★佐藤

 米国音楽史上もっとも直裁かつ生理的に辛辣に南部の黒人差別の風景を切り取ったプロテスト・ソング。こんなに悲痛なメッセージを抱えた曲がどれほどあるというのだ。ルイス・アレンという名前でスタンダード系曲も書いた、在NYのユダヤ人牧師にして共産党員だったエイベル・ミーアポルが30年代初頭に新聞記事に載った写真に衝撃を受けて書いた。その後、アフリカン・アメリカンの苦難を背負いまくったような“暗黒の声”を持つホリデイの喉力もあり、広く知られるようになった。ここでかけるのは、“テイク2”ヴァージョン。

6.BIG BILL BROONZY / Black, Brown And White Blues (1947年) 『Blues In The Mississippi Night』(Rounder CD 82161-1860-2) ★濱田

 1920年代から録音のあるビッグ・ビル・ブルーンジーは1930〜40年代に人気の絶頂を迎えたブルース・シンガー/ギタリスト。この曲は2003年に初めて世に出た録音で、人種差別をあからさまに歌った内容から発表を見送られたことが想像できる。タイトルの「ブラック」「ブラウン」「ホワイト」は肌の色を意味し、「ブラック」であることで不当な扱いを受けることを歌っている。

 

▶︎ c) 1950年代〜60年代前半 フリーダム・ソング〜フォークの影響も受けた時代

7.Lightnin’ Hopkins : War Is Starting Again (1961 年)『Lightnin’ Strikes』(Ivory 91272 / Vee Jay LP 1044、1961 年) ★高地

 1950年代の朝鮮戦争、そしてヴェトナム戦争を題材として多くの黒人シンガーが徴兵されていく時事を歌い、テキサス・ブルースの大物ライトニンも世を嘆き訴えた。本作はシングル盤発売され、ブルースがまだまだ黒人底辺社会で声を大きく上げていた実例となる一曲。

8.Little Richard / Tutti Frutti (1955年) 『Here's Little Richard』(Specialty SP-100)。★佐藤

 主旨から離れるかもしれないが、胸を張ってこの曲を選曲。リトル・リチャード、チャック・ベリー、ボー・ディッドリーのロックロール3傑はまさに音楽性は当然のこと、歌詞や物腰においてもコペルニクス的展開的にして規格外。この時代のすっこーんと抜けた彼らの表現は、当時の困難な黒人を取り巻く状況が生んだ最良の生理的反発の裏返しであり(一部、逃避もあるか)、アフリカン・アメリカンの創造性の見事な発露であると考える。そして、そんな表現は白人への訴求力も抜群であった。彼らのR&Rは同胞の地位向上に貢献したとも思う。

9.Go Tell It On The Mountain(1963年) 『Movement Soul』(ESP 1056)★濱田

 1960年代前半の黒人教会や集会場での模様を収めたアルバムからの1曲。いわゆるフィールド・レコーディングで、生々しさがすごい。当時の公民権運動の様子を伝えるものとして選んだ。国を動かすのは民衆の力であることが伝わってくる。このLPは南部各地で録った音源をつないでおり、これはLPのA面の冒頭の部分になる。

 

▶︎ d)1960年代後半 「ソウル勃興」から「ブラック・パワー」の時代

10.J.B. LENOIR / Alabama Blues (1965年) 『Alabama Blues』(CBS 62593)★濱田

 J.B.ルノアーは、社会的な題材を歌詞に込めたブルース・シンガー/ギタリストとして知られる。1965年5月5日に録音されたこの曲は、同年2月アラバマ州セルマでの公民権を求めるデモ行進で警察の暴力によって多数の犠牲者が出たことに対する怒りを歌ったものであろう。その内容からかこのアルバムは当初本国アメリカでは発売されなかった。

11.Little Milton / We’re Gonna Make It (1965 年) (Checker 1105 / LP 2995) ★高地

 仕事を見つけるのも難しく、配給の列に並ばざるを得ない生活。そこで「みんなで力を合わせれば乗り越えらえる」なんて、現実問題として軟な意識かもしれないが、モダン・ブルースの王者ミルトンの歌の並外れた訴求力で1965年にR&Bチャート連続三週トップという大きな共感を得た。ドラムスはモーリス・ホワイト、ベースはルイス・サタフィールドという後のEWFの中心人物となる二人が支える賛同ビートも快感。

12.JAMES BROWN / Say It Loud, I'm Black And I'm Proud (1968年) 『Say It Live And Loud: Live In Dallas 08.26.68』(Polydor 31455 7668-2) ★濱田

 1960年代後半に高まった「ブラック・パワー運動」は、黒人であることを誇りとし、黒人の独立自尊を訴えた運動だった。ジェイムズ・ブラウンのこの曲は「ブラック・パワー」を象徴するメッセージ・ソングとして知られている。今回聴いていただくのは1968年8月26日、テキサス州ダラスでのライヴ録音。

13.Roebuck Pops Staples / Black Boy (1969年) (Stax STA-0064) ★高地 

 メッセージ・ソウルの代表的家族グループ、ザ・ステイプル・シンガーズのリーダーであり家長であるポップス・ステイプルズによるソロ作品で、その学校にとって初めての黒人生徒となる少年の初登校日に起こった出来事とその心情を綴っていく。ポップスを師と仰ぐダニー・ハサウェイのエレピも煽りまくり、コーラスに加わる娘メイヴィスの声援の熱さもすごい。

14.Gil Scott-Heron / Evolution(And Flashback) (1970年) 『Small Talk 125th and Lenox』(Flying Dutchman BVCJ-1015) ★佐藤

 ジャズ・ポエットとして世に出たヘロンのファースト作から。レーベルのフライング・ダッチマンはジャズ重要レーベル“インパルス!”のプロデューサーだったボブ・シールは起こしたレーベルだ。ハーレムの中心地の住所である『Small Talk 125th and Lenox』と名付けた詩集を材料にリーディングする模様を収めた、素の実況盤。マルコムXキング牧師の名前を出しつつ、黒人の自立意識をビターに説いている。こういうライヴの場が当時は有効であったのか。

15.Donny Hathaway / Magnificent Sanctuary Band (1971年)『Donny Hathaway』(Atlantic SD33-360) ★佐藤

 頭のドラム音から胸高鳴り、肯定的な気分に満ちる。平等を求める行進を祝福するこの曲は、まだ黒人社会やダニーに希望があったことを伝える。オリジナルはロカビリー歌手のドーシー・バーネットが1970年に発表。なお、ドラマーのハーヴィー・メイソンの1975年曲「マーチング・イン・ザ・ストリート」(アリスタ)はこれへの返歌だ。

 

▶︎ e)1970年代 公民権法成立後の困難〜ゲットー、ベトナム帰還兵といった問題を扱う

16.Roland Kirk/ What’s Goin’ On ~ Mercy Mercy Me (The Ecology) (1971年) 『Blacknus 』 Atlantic SD1601) ★高地

 マーヴィン・ゲイの71年の大ヒットとなったモータウンの二曲は世を動かし、それにブラック・ミュージックのもう一つの大レーベルであるアトランティックも応えた。ブラック・ジャズの権化となるローランド・カークとアトランティックが誇るスタジオ・ミュージシャンが総出で暴れまくった痛快ファンク。

17.ROY C / Open Letter To The President (1971年) (Alaga AL-1006) ★濱田

 ハニードリッパーズ名義での “Impeach The President”他、メッセージ・ソングが多数あるロイ・Cは、1960年代から活躍するシンガー/ソングライター。この「大統領への公開状」ではベトナム戦争からの撤退や貧困家庭の問題を訴え、さらには当時の南アフリカの人種差別にも言及している。歌い出しはインプレッションズの“People Get Ready”を受けており、60年代からのつながりを感じさせる。

18.BOBBY PATTERSON / This Whole Funky World Is A Ghetto (1972年) 『It's Just A Matter Of Time』(Paula LPS 2215)★濱田

 テキサス州ダラス出身のボビー・パタースンは1960年代後半にデビュー、これは彼にとって初のアルバムからの1曲。黒人の貧困層が住む「ゲットー」の問題は70年代に入っても改善は見られず、多くのシンガーやミュージシャンが作品の中で訴えている。この曲では犯罪に溢れるゲットーの現状を描きながら、改善の道を探ろうと歌う。

19.Sly & The Family Stone / Let Me Have It All (1973年) 『Fresh』(Epic MHCP-1307)★佐藤

 スライ・ストーンは魔法のような混合サウンド作りとともに、言葉使いの天才でもあり、それゆえ秀でたメッセージを持つ曲をたくさん発表している。彼が素晴らしいのは同胞に向けて“スタンド”を促す際に、ポジティヴでリベラルな視点をしっかりと携えていたこと。だが、この1973年作になると、その塩梅がだいぶ変わり、絶望の情が前に出てくる。“僕に全てをください”と懇願する内容のこの曲も、音楽的に洗練されたコーラスや管音とあいまって諦観の念が大きく横たわっていると感じてならない。“なんかとなるさ=どうでもいいや”と歌われる「ケ・セラ・セラ」の名カヴァーもこのアルバムに収録。

20.Taj Mahal/ West Indian Revelation(1975年) 『 Music Keeps Me Together (Columbia PC 33801)★高地

 70年代に入ってようやく我々も気づいた、カリブ/アフリカでの闘争行動そのものとなった音楽の勃興、それにアメリカン・ルーツ・ミュージックを探っていたタジも目覚め、サード・ワールドへと拡がるアメリカ黒人意識を表わした傑作。

21.Swamp Dogg / Call Me Nigger (1976年)『Swamp Dogg’s Greatest Hits?』(Stone Dogg RVP-6164) ★佐藤

 知性もどこか感じさせる変調ソウル・シンガー/ソングライターとして知られるスワンプ・ドッグの面目躍如な1曲。ニガーだろうとブラックだろうと、おまえらの好きなように呼べ。おいらは気にしねえ。ただし、前に進むおいらの邪魔をするんじゃねえ。といった文言から始まる歌は、もう白人への罵詈雑言が7分にわたって鬼のように綴られる。今や対決あるのみ。単語の数の多さは、その思いを伝えよう。収録作はもちろんオリジナル・アルバムで、アルバム表題は洒落。

 

(f)年代順[5]1980年代以降 

22.Chuck Brown & the Soul Searchers / We Need Some Money(1984年) 『Go Go Crankin’』(T.T.E.D./Island DCLP 100) ★佐藤

 “チョコレート・シティたる”ワシントンD.C.のファンク/ゴー・ゴー界のヴェテランのシンガー/ギタリストの当たり曲。現金ばんざいという率直さとともに、クレジット・カード=白人のシステムなんか俺たちには関係ねえという反骨精神が爽快に爆発。我々には俺たちの流儀がある! こういうガラっぱちなヴァイタリティこそ、ぼくが米国黒人音楽に求める最たる美点であるのだ。

23.SHERWOOD FLEMING / History (2015年) 『Blues Blues Blues』(KTI KTIC-1016)★濱田

 1960年代後半からいくつかシングルを発表していたシャーウッド・フレミングが2015年に78歳で発表した衝撃のアルバムからの1曲。その年齢から「枯れた味わいのブルース」を想像したら痛い目にあう。これは1992年の「ロサンゼルス暴動」に発展する「ロドニー・キング事件」に対しての怒りが生んだポエトリーで、タイトルの「歴史」とは黒人が歩んできた苦難の道であり、語り継いでいかなければならないものだ。

24.Robert Cray & Hi Rhythm : Just How Low (2017年) (Jay-Vee Records JV2017LP) ★高地

 イントロで”Hail To The Chief”(大統領万歳)をギターで奏で、マーチのようにそれを煽るドラムスが、まるで監獄で鎖に繋がれた人間の行進のようなビートとなってくる、異様なファンク・ブルースである。トランプ大統領による乱政へ抗議であり、呪いをかけるかのようなサウンドとビート自体が凄まじい。 (ブルース&ソウル・レコード136号CD評より)

 

 

 

 

 

先週末に行われた原田和典さんによる待望の新著『コテコテ・サウンド・マシーン』(スペースネットワーク刊)発売記念講演、良い意味でいろいろと予想を裏切る好イヴェントだった。

 

予想外の第一は、新著の印刷上がり日程がわかったのがイヴェント開催日直前、そのため告知期間はわずか10日ほど。ふつう、こうしたケースでは参加したくても既に他のスケジュールが入っているファンが多く、どうしても集客数が限られてしまうものなのだ。それにもかかわらず来客数の多さに驚かされたのだった。通常20名を超せば盛況のイヴェント来客数に対し、何と36名もおいでいただき、客席は満杯。

 

予想外の第2は客層。新著のタイトル「コテコテ」というキャッチ・フレーズは今から20年以上も昔、1995年に「ジャズ批評」社から刊行された『コテコテ・デラックス~GROOVE,FUNK&SOUl』にちなんでいる。発売当時この本は大いに話題となったものだった。とは言え、この名著を知るファンは今や完全なオジサン世代だ。

 

そうしたいきさつもあり、また私の個人的思い込みかもしれないが「今どき」ディープなブラック・ミュージックを愛好するファンはそうとうマニアックな方々(要するにオジサンたち)ではないかと思い込んでいた。しかし予想に反し、お客様の半数以上が若いお洒落な女性客なのだ。どうやら私などが知らないところで、若い女性音楽ファンがブラック・ミュージックに惹かれているらしい。余談ながら、このところわが「いーぐる」も女性客が目に見えて増えている。

 

そしてイヴェントの内容も良い意味で事前の予想を裏切った。私は「コテコテ」という新著のタイトルから、昔ながらのマニア向け「知れらざるブラック・ミュージック紹介本」かと思いきや、こうした音楽ジャンル自体に対する原田さんの現代的解釈が加わっているのだ。おそらくその背景には原田さん自身が語っていた、ヴォーカルへの関心とフランク・シナトラに象徴される白人ヴォーカルに対する再認識があるようだ。そしてもちろん、現代ジャズにおけるヴォーカル重視、アレンジ重視という現状も影響していると思う。

 

その第一が「聴き比べ」。ジャズでよくやるオリジナル、ポピュラー・シンガー版とジャズ・ヴォーカリストの歌唱の違い同様、意外なポップスがソウル・シンガーたちによって巧みに料理されているケースが実際の音源によって紹介され、ブラック・テイストの実際が的確に伝わってくる。とりわけ私たちの世代には懐かしいヴィッキーの「恋はみずいろ」のブラック・バージョンなど、「え、こんなのがあったの」と驚かされた。そしてシナトラのおよそ「黒くない」歌唱のブラック版も、眼からウロコだった。詳しくは当日の選曲リストをご覧いただきたい。

 

そして、何より興味深く、若い女性ファン層の存在のヒントともなったのが、現代ジャズとブラック・ミュージックの関係だ。よく考えてみれば、今回紹介されたスナーキー・パピーの人気オルガン奏者コリー・ヘンリーのやっていることだって、もちろんルーツはブラック・ミュージックだったのだ。

 

最後にこれを「予想外」と言っては語弊があるかもしれないが、定価2700円とかなり高価な新著が当日飛ぶように売れたことだ。カラーでジャケットが掲載されたていねいな作りの書物なので価格相当であることはわかるが、よほどのマニアでなければ買わないのでは、という当方の予想を見事に裏切ってくれたのは、何より「音」のリアリティだろう。原田さんの的確な解説でブラック・ミュージックの魅力を実感した当日のお客様が、「これは買わなきゃ」と思ったことは間違いない。

 

ともあれ、いろいろな意味で良い方向で事前の予想を覆す素晴らしいイヴェントだった。その「予想外」は現代ジャズの実態に対する理解にも繋がり、そしてまた新たなジャズ・ファン層の出現を知るきっかけともなったのだった。

 

ブラック・ミュージック繋がりということで言えば、今週末のイヴェント『今聴いてほしいブルース/ソウル/ファンクのメッセージ・ソング』も今回の原田新著とどうかかわるのか、大いにに楽しみ!

 

 

 

 

 

【当日の原田さんによる選曲リスト】

 

 

『コテコテ・サウンド・マシーン』 発売イベント at 「いーぐる」

              

 

  1. Bloodest Saxophone feat. Big Jay McNeely 「Hot Special」

2.Gus Poole 「Hallelujah, Alright, Amen!」

  1. Beck 「The New Pollution」
  2. Otis Redding 「(I Can't Get No) Satisfaction」 Apr.10,1966,live in Los Angeles (2nd set) 5. Otis Redding 「(I Can't Get No) Satisfaction」 Apr.9,1966,live in Los Angeles (2nd set) 6. Hoagy Carmichael 「Georgia on My Mind」
  3. Pucho And The Latin Soul Brothers 「Georgia on My Mind」
  4. Vicky Leandros 「L'amour est bleu」(恋はみずいろ)
  5. Rufus Harley「Love Is Blue」(恋はみずいろ)
  6. Frank Sinatra 「It Was A Very Good Year」
  7. Della Reese 「It Was A Very Good Year」

 

<中入り> Sonny Hopson's Radio Show (1969, Philadelphia)

 

  1. Bobby Bryant「A Prayer for Peace」
  2. Marvin Gaye「I Wanna Be Where You Are」(Alternate Version) 14. Build An Ark 「Dawn」
  3. Billy Hawks 「Whip It On Me」
  4. New Jersey Kings「Solid」
  5. Cory Henry「He Has Made Me Glad」
  6. Delvon Lamarr Organ Trio「Move On Up」