10月17日(土)
以前から書いているように、いーぐるの床を張り替えたため音が変わった。元には戻らないものの、少しでも以前のサウンドに近づけようと4ウエイスピーカーのアッテネーターを調節し、そして10月10日のロックイヴェントに望んだわけだ。結果は書いたとおり、音楽については目からウロコものだったが、オーディオ的には前回(第1回ロックを大音量で聴く会『ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか』)アニマルズ《朝日の当たる家》のコク、深みには達していなかった。翌11日、新しい床にワックスをかけた。予想通り、音がまた変わった。
そして迎えた今日、朝日カルチャーセンター講座でかけたマイルス『リラクシン』《イフ・アイ・ワー・ア・ベル》、さんざん聴いたはずであるポール・チェンバースのベースの音の良さに、思わず聴き惚れてしまった。ふくよかでありながら音程がしっかり聴き分けられ、リズムの躍動感抜群なのだ。マイルスが良いのは言うまでもないが、それはチェンバースら、ずば抜けたサイドマンたちあっての総合ワザであることが、いまさらのように実感された。
4時から始まった益子さんの新譜特集、事前の告知が充分でなかったこともあり、ほとんどが顔見知りのこじんまりとした会となった。しかしその効用というものもあって、終了後、参加されたお客様全員のご意見をうかがうことができた。いくつか紹介すると、ロックイヴェントにも来ていただいた古くからのご常連の「新譜紹介というから、聴いてみたいと思っていたキースの新譜がかかるかと思ったが、ちょっと内容が違った」というしごくまっとうな疑問に対し、益子さんは「ジャズ雑誌が伝えるであろうような“メジャー”なものは、あえて避けた」と、これまた一理ある返答。
ただ、それなら事前の告知をもう少し具体的に「ニューヨーク、ダウンタウンシーンの近況」と明示すべきであったが、それを単に「新譜特集」としてしまったのは、フライヤー作成者である私の責任だ。反省した。
また、これも古くからのご常連でいーぐる連続講演にもほぼ毎回来てくださるお客様からの「聴き慣れないせいか、どの演奏も同じように聴こえた」という感想に対し、私も「音楽の表情がどれも似通っているが、それがニューヨーク、ダウンタウンシーンの現況なのか、あるいは益子さんの好みなのか、ちょっとわからなかった」と同感の意見を述べた。
それに対する益子さんの返事は、「ジャズを聴き始めたばかりのファンにとって、ハードバップがみな同じように聴こえるのと同じことじゃないだろうか」という回答。これも自分の経験に照らし合わせてみれば、よくわかる。
福翔の打ち上げでは、鈴木さんにウオーン・マーシュの講演をお願いし、相澤さんからはcom-post往復書簡の原稿がすでに益子編集長に渡され、週明けにもアップされるという朗報を聞く。いろいろなことが動きだしそうだ。