はじめまして、「いーぐる」の後藤です。今まで「いーぐるホームページ」に、不定期に「日記」らしきものを書いていたのですが(といっても最近はまったくお休み状態)、ホームページ管理人、山下さんが忙しくなったこともあり、なるべくお手間を取らせないよう、「日記」のみこちらに移転してきました。今後は思いつくまま、日々のとりとめのない由無し言など書き連ねていくつもりですので、ヨロシクお付き合いのほどを、、、
 移転にあたっては、この手のものにまったく不案内なワタクシめのため、若手ジャズ評論家候補ナンバーワン(本人はイヤがってるようだけど)八田真行さんが全面的にメンドーを見てくれました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 まずは9月30日に「いーぐる」で行われた、徳永伸一さんの特集「東京のジャズシーン」の総括から。
 そもそもこのイヴェントは、私たち(中山康樹さん、村井康司さん)三人がこの春上梓した、『ジャズ構造改革』(彩流社)の内容(特に日本のジャズシーンについて)に対する不満を、徳永さんがいーぐる掲示板に投稿されたことがきっかけでした。その後いろいろいきさつがあったのですが、徳永さんの言い分を音で示していただこうというのが発端です。
 だいたい「いーぐる掲示板」に何やら書いてくる人でも、実際にそれを「いーぐる特集」の場で、音で示してくれと言うと腰が引けてしまう人が大半な中で、キチンと講演を引き受けてくれた徳永さんは立派だと思います。
 ということで当日を迎えたワケですが、私の評価は65点で、これは初めて「いーぐる特集」をやる人としては合格点(60点)をクリアーしており、私としては特に不満はありませんでした。65点はキビしいと思われるかもしれませんが、たった1曲のために膨大な資料をあたり、聴き手の眼からウロコを落としてくれるような過去の優れた数々の特集と比較してみれば、これは妥当な点数であると私は考えます。
 ところが、アフターアワーズでの音楽関係者講評(それぞれ、ECMに関して、日本のジャズシーンの現況、あるいはポピュラーミュージック全般について、私より詳しい方々)は、思いの他点が辛かった。その時の皆さんの意見を思いつくまま上げれば、「ECMの影響が歴然としているのに、それに対する言及がない」「日本のジャズシーンの現状を反映していないのではないか」「果たしてトラックの選択が最善であるのかどうか」「音に力がない」などなど。
 私はというと、特集の途中から、徳永さんと私との音楽的バックグラウンドがまったく異なることに気が付き、それはそれでナットクでした。そのことはイヴェントの最後でも言いましたが、私はジャズ喫茶のオヤジですから当然なのですが、ジャズを中心に、加えてブラック・ミュージック全般を愛好の対象としているが、どうも徳永さんはそうではないようである。
 私は理由がわかればOKなタイプなので、それが「合格点」にも反映しているのかもしれませんが、「ジャズ」という視点で見ればいささか異論はあるものの、いまどきの東京の音楽シーンを総覧するという意味では、それなりに面白いものだと思いました。
 それを証明するように、イヴェントの後「いーぐる掲示板」には絶賛の投稿が2件も寄せられたのです。しかし公平を期するために書いておくのですが、当日、朝日カルチャーの生徒さんが4名参加されましたが、そのうち2名が途中退席され、退席者の1名(この方はたいへん熱心な日本のジャズライヴファン)は、「つまらないから」と退席の理由を明言したそうです。実際、この日のイヴェントは参加者人数こそ平均値をクリアー(30名)したものの、ほぼ定刻に終了したにもかかわらず、途中退席者はいつもより目立った。
 これはちょっと困ったことだ。というのも、そもそもこのイヴェントの目的の一つに、「ジャズ初心者にCDを薦めるかライヴを薦めるか」という問題設定があったにも関わらず、最も熱心なライヴファンであるカルチャーの生徒さんに「つまらない」と言われたのでは、どうしようもないからだ。
 結論を言えば、徳永さんの講演は、聴く人の音楽的バックグラウンドによって、かなり評価にバラつきのでる性格のものであったということだろう。