6月7日(土)

長くジャズ喫茶を経営し、近頃では「ジャズ入門書」なども手がけている。ジャズ喫茶店主としては幅広くジャズを紹介することを心がけ、またジャズ本著者としてはジャズという音楽ジャンルの聴き所をわかりやすく解説することを目指している。

とは言え、一ジャズファンとしてはそれなりの「好み」「偏り」が当然あって、あまりそれを一般化しないよう心がけてはいるのです。しかし、同じジャズ評論家である佐藤英輔さんがかける音があまりにも心地よくカラダに沁みこんで来ると、つい「そうなんだよ! ジャズって黒くてトンがってなきゃ」などとホザきたくなるのですね。

冷静に考えれば、必ずしも「ジャズ」の枠には収まり切らない演奏でも、私がジャズに求める濃厚な肌触りやコクを備えていれば、それがロックだろうがなんだろうがOKなんです。まあ、「これがジャズなんだ」と強弁したりはしませんが・・・

それはさておき、今回英輔さんが紹介してくれた音たちは、実はけっこう営業中もかけており、ジャン・ポール・ブレリーの「アイボボ」なんぞはかなり私のお好みのサウンド。また、実は個人的にプーさんの傑作と思っていた「AAOBB」がかかったのも嬉しかった。

もちろん知らない音源でレジュメに丸印を付けた演奏もかなり多く、ヘンリー・スレッギルの「やっぱりオカシイ」サウンドも気持ち良かったし、アート・リンゼイのわけのわからなさもあいかわらずカッコいい。

それにしても、近頃の滅菌漂白したような「洗練されすぎジャズもどき」を聴くよりは、時代錯誤といわれようが、こうした「濃い」音楽を聴いていた方がやはり楽しいですね。英輔さん、今後もこの手の「元気の良い」音たちをガンガン紹介してください!