9月21日(金)

Y社長来店、格闘技を習おうと思っているという。何を、と聞くと、合気道という。最近知り合ったtommyさんはボクシングをやるというし、どうやらジャズと格闘技は相性がいいらしい。そういえば、近所に住む東京ジャズ・アクションのディディエさんはCIAに格闘技を教えるほどの合気道、居合い抜きの達人だし、不肖私も、まったく強くならないけれど相変わらず正道会館に毎週通い、若いお兄ちゃんたち(もちろんジジイ相手なので手加減してくれているんだと思う)とスパーリングを愉しんでいる。
Y社長は、内田樹氏の著書がきっかけで身体技法習得の一環として合気道に着目したという。レヴィナスの研究者であると同時に、合気道、居合い抜きなど武道の実践家、内田氏の、「非中枢的身体論」とサブタイトルがつけられた『私の身体は頭がいい』(新曜社刊)は私も読んだことがあり、いろいろと思い当たるフシがあった。
内田氏は仏文の卒業論文メルロー=ポンティの身体論を取り上げ、武道の術理を学術的な用語で語りたいと思ったそうだ。私も20代に彼の『知覚の現象学』(みすず書房刊)を読んだ時、高校時代柔道の選手だった体験からいろいろと納得、実感するところがあった(think第3回参照のこと)。ちなみに、ウィキペディアによると、内田氏は日比谷高校を品行不良で退学になり、ジャズ喫茶でアルバイトをしていたことがあるという。カッコいい経歴ですねえ。
そうこうするうちtommy氏が現れ、常連雲ちゃんと4人で話題は10月6日急遽行うことが決まったザヴィヌル追悼特集に移る。tommyさんは律儀にもザヴィヌルCDを「大人買い」し、娘さんにザヴィヌル関係の文献を調べさせているという。私はそんなにオオゲサに考えることはなく、追悼の意味で各自が好きなアルバムを持ち寄り、コメントしていただければけっこうですと言ったのだが、、、
ところでtommy氏が面白いウワサ話を聞かせてくれた。私がジャズ喫茶などという儲からない商売を40年間も続けていられるのは、自社ビルでの営業だからだと言うのである。思わず笑ってしまった。もしそうならたいへんけっこうな話だが、残念なことに家賃を払っての商売なのでいつもピーピーしているのは、身近な友人たちなら皆知っている。ウワサとはそうしたものですよね。