12月6日(土)
人様のおやりになることを採点するなど、おこがましいは百も承知だが、今回の林さんのローランド・カーク特集、100点満点だった。評価する以上、明確な採点基準がある。まず、明快で魅力的なテーマがあり、それがわかりやすく解説されること。加えて、聴いて楽しい選曲。今回はそれらすべてが非常に満足のいくレベルで達成されていたのである。
まず、ローランド・カークが多種類の楽器を使用することの意味を解明する、というテーマが素晴らしい。たった一度のカーク来日公演を高校生の頃見ているという縁もあって(もっとも、当時はジャズそのものをまったくわかってなかったのだが)、カークは特に好きなミューシャンだ。だから、彼が複数の楽器を使う意味までは当然理解しているつもりだったが、ストリッチ、マンゼロといった特殊な楽器を使用することの具体的意味、までは考えが及んでいなかった。それを解明するというテーマ自体が既に目からウロコなのだが、その魅力的であるがゆえに考えてみれば難しい問題が、説得力のある選曲によって具体的に解明されたのだから、これは嬉しい。
加えて、そうした疑問解明という視点を抜きにして、単に音楽を聴いて楽しむという観点からも、非常に心地よい選曲がなされたのだから、これはもう大満足である。名曲、名演《ジス・マスカレード》がかかったときは落涙ものであった。「疑問解明」の中身については、おそらく、当日参加してくれたいっきさんが、私以上にわかりやすくご自身のブログ上で公開してくれるのではないかと思うので、これ以上言及はしない。また、私たちの『白熱MILES鼎談』を出してくれた出版社、プリズムさんから林さんのカーク本が近日中に上梓されるそうだ。これも楽しみ。
当然打ち上げも大盛況で、雲ちゃん、tommyさん、いっきさん、宮坂さん、kirkさん、プリズム齋藤さんなど、総勢10名以上が福翔飯店でジャズ話題に花が咲く。たまたまだけど、私たちのジャズサイト”com-post”が前日立ち上がったので、その評判も皆さんに尋ねてみたが、“開店祝い”のご祝儀という意味もあるのだろうけれど、デザインを含めおおむね良好なのでホッと胸をなでおろすと同時に、皆さんのご期待、応援に応えるべく、身が引き締まる思いだった。