1月13日(日)

神楽坂の「artdish」に中平穂積さんの写真展と、同時に開催されたジャズ評論家、佐藤秀樹さんと中平さんによるレコード・コンサートを聴きに行く。あちこちに書いたことだけど、私がいまだにジャズ喫茶稼業を続けているのは、高校生のとき友人に伝説のジャズ喫茶『DIG』に連れて行かれたことが大きい。

また、昨日で488回目を向かえた『いーぐる連続講演』を始めたのも、はるか昔、『DIG』で行われていた佐藤秀樹さんによる「レコード・コンサート」に感銘を受け、及ばずながらその伝統を引き継ごうという気持ちからだ。自分の人生に大きな影響を与えてくれた大先輩方のイヴェント、何はともあれ行かずばなるまい。

会場はすでに満員、御茶ノ水『グラウアー』の古庄さんが最前列に陣取っている。少しして高田の馬場『イントロ』の茂串さんも来会。こうした場で古くからの同業者の方々と顔を合わせるのはたいへんに嬉しい。その他にも熱心なジャズファンの方々のお顔を多数発見。

レコード・コンサートと銘は打っているが、内容は中平さんと佐藤さんの昔語りが中心で、その合間にレコードをかけるというスタイル。しかしこれがいい。何しろただの「ご老体」(失礼!)の昔話ではない。

日本のジャズ喫茶黎明期に、その後のジャズ喫茶スタイルに決定的影響を与えた中平さんと、ジャズに対する愛情が言葉の端々からうかがえる私の敬愛するジャズ評論家、佐藤さんの「ここだけの話」面白くないわけがない。途中、私や茂串さんらも飛び入りさせていただき、ジャズ好きならではの面白話に会場全体に和やかな気分が行き渡る。

散会後、ゆっくり写真も見せていただいたが、中平さんのジャズに対する愛情、ジャズマンに対するリスペクトが当然のごとく被写体の表情に表れたチャーミングな写真ばかり。良い写真は撮影者自身を映しだすものだ。

新年早々こういう気持ちの良い会に参加させていただき、今年は幸先が良い。日本のジャズシーンは中平さんや佐藤さんのような、ほんとうにジャズが好きで、ジャズマンに対する敬愛の念にあふれた方々によって育まれてきたものなのだ。こうした方々の築き上げてきたものの上に今私たちはいるわけで、諸先輩方の思いを次の世代に引き継ぐべく、ささやかながら力を尽くしたいと決意を新たにした次第。