●第614回 6月10日(土) 午後3時30分より 参加費 800円+飲食代
『エラ・フィッツジェラルド特集〜The First Lady of Song』
2017年はエラ・フィッツジェラルド(1917年4月25日~1996年6月15日)の生誕100周年。ビリー・ホリデイとほぼ同時期にジャズ界に現れ、短命だったビリーにくらべて、50年以上にわたって第一線で活躍した。13回にわたるグラミー賞受賞という記録はジャズ・シンガーとしては空前絶後と思われる。さらにイェール、ダートマス、プリンストン各大学において名誉博士号を授与され、日本の文化勲章にあたる大統領自由勲章を授与されるなど現世での褒章の厚さはジャズ界でも群を抜いている。このため「Lady Ella」「The First Lady of Song」と呼ばれた。
彼女の魅力はデビュー当時に在籍したチック・ウエッブ楽団で会得した強力なスウィングと闊達自在のスキャット力にある。この実力に加え、無数のスタンダード・ソングを歌いまくり、奔放なアドリブ・パワーを発揮して、ポピュラー・ソングを見事なジャズにしたてたことにある。特に1950年代後半から60年代前半にかけて、ノーマン・グランツのプロデュースで作り続けた8人の作詞作曲家のソング・ブック・シリーズは圧巻である。その内容はコール・ポーター、ロジャース=ハート、デューク・エリントン、アーヴィング・バーリン、ガーシュウィン兄弟、ハロルド・アーレン、ジェローム・カーン、ジョニー・マーサーという堂々たるもの。
講演会ではこのシリーズに加え、ベルリンなど著名なライヴ録音やデューク・エリントン、カウント・ベイシーら超一流のバンドとの共演音源をとりあげる。映像も初期から円熟期の貴重なものを厳選してお届けする。(小針俊郎)
解説 小針俊郎
●第615回 7月22日 (土) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代
*日程が上記のように変更となりました。
『ジョージ・ガーシュウィン没後80周年記念・クラシカル&ミュージカル作品集』
いーぐるの連続講演では、これまで何度かジョージ・ガーシュウィンを特集してきた。昨年秋にはオペラ『ポーギーとベス』について講演した。今回は彼の没後80年を記念して彼のクラシカル作品とミュージカル作品を取り上げる。
ガーシュウィンははじめティン・パン・アレイの、次いでブロードウェイの作曲家として名をあげるが、1920年頃からクラシカル作品の作曲に野望を持ち、24年には有名な「ラプソディー・イン・ブルー」で一躍楽壇の寵児となった。管弦楽法を会得するためパリに赴きモーリス・ラヴェルの門を叩いたことは有名である。ラヴェルの返答として「あなたはすでに一流のガーシュウィンなのだから、二流のラヴェルになることはない」。弟子入りすることはなかったが、二人は交友関係を結ぶ。パリに遊んだ成果は見事な管弦楽作品「パリのアメリカ人」に結実している。この他「ピアノ協奏曲」「キューバ序曲」「アイ・ガット・リズム変奏曲」「ピアノのための前奏曲」などを残している。
ブロードウェイ・ミュージカル作品としては「レディー・ビー・グッド」「ストライク・アップ・ザ・バンド」「ガール・クレイジー」「オブ・ジー・アイ・シング」「レットエム・イート・ケーク」。ハリウッド・ミュージカルとしては「踊らん哉」「踊る騎士」などがある。これらの作品からはジャズメンにも愛好される無数のスタンダード・ソングが生まれたのである。
講演会ではガーシュウィン自演の音源、貴重映像をまじえてお届けする予定だ。ガーシュウィンが後世に残した音楽遺産を楽しんでいただければと思う。(小針俊郎)
解説 小針俊郎