●第651回 12月15日(土曜日)午後3時30分より 参加費1500円+飲食代

チャールズ・ミンガス/ジャズ・イン・デトロイト/ストラタ・コンサート・ギャラリー/46/セルダン』試聴会&トークショー

ジャズ界の伝説的なベーシスト、チャールズ・ミンガスが、1973年、デトロイトのストラタ・コンサート・ギャラリーに残した、未発表のライヴ音源が奇跡的に発掘され、イギリスのレコード会社、BBEから11月に発売。このジャズ・レジェンドの、幻のライヴの正規発売を記念に、いーぐるで4時間に及ぶ驚異的な生録音の一部を試聴しながら、元ジャズ批評の編集長で、数々のジャズの名作の再発と書籍を監修されている著名な音楽ライター、原田和典、さらに1970年代から世界的な活動を続け、ミンガス・トリビュート作もリリースしているベース奏者・藤原清登、両氏を迎え、チャールズ・ミンガスと本作の魅力について語って頂きます。

CHARLES MINGUS
『JAZZ IN DETROIT/ STRATA CONCERT GALLERY/ 46 SELDEN』
発売日:2018/11/07
定価:\5,000(税抜)
フォーマット:CD5
カタログ番号:BBEACDJ453
ジャンル:洋楽/JAZZ
レーベル:BBE
販売元:株式会社ウルトラ・ヴァイヴ
好評発売中

CDの即売あり !

藤原清登 [Double Bass]

高松市出身。音楽家の両親のもとロック大好きサッカー少年として過ごす。16歳でベースを始め東京芸術大学教授、故今村清一氏に師事。1974年渡米。バークリー音楽院を経てジュリアード音楽院大学院卒業。21歳でホレス・シルバークインテットにて米国デビュー後、NYを拠点に活躍。同年に米レーベルMuse、及びStrata
Eastにクリフォード・ジョーダン、シャミーク・ファラのアルバムでレコーディング・デビュー。境界のないジャンルで国際的に活躍する本格派として内外の音楽祭に多数参加。1987年自己のグループMG4結成以来、十数枚のアルバムを発表。2000年スイングジャーナル誌ではベース部門で1位に選ばれ『モダン・ベースの王者』と呼ばれ親しまれている。近年、日本でのCDリリース、コンサート活動も目覚しく、2013年には自己レーベルGARUGANTUAを創設。また洗足学園音楽大学にて後進の指導にもあたっている。
http://kiyotofujiwara.com/



司会進行:原田和典(音楽ジャーナリスト/元ジャズ批評編集長)
藤原清登(ベーシスト)




● 12月18日(火曜日)20:00〜22:00
“NEW ARRIVALS”Vol.59

《予約不要、飲食代金のみでご参加いただけます》

今年最後の新譜紹介は ユニバーサル加藤さん、ユニオン羽根さんそれぞれの2018年ベスト盤1枚と新譜の紹介です。業界専門家であるお二方が果たして何をベストとするか、今から興味津々です。

ユニバーサルジャズとディスクユニオンの共同主催による、新譜紹介イヴェント。毎回話題の新作をていねいな解説付きでゆっくりとご試聴いただけます。お気に入りのアルバムをその場で購入することも出来ます。ジャズシーンの動向がいち早く知れる話題のイヴェントで、私も大いに参考にさせていただいてます。みなさま、ぜひお気軽にご参加ください。

*なお、試聴中はお静かにお聴きくださりますよう、お願いいたしておりますので、その旨ご配慮ください。





●第652回 12月22日(土曜日) 午後3時30分より
『好例2018ベスト盤大会』 参加費500円+飲食代

音楽界関係者一同による好例の2018年ベスト盤大会です。参加のみなさま方が今年のベスト盤を持ち寄り、それぞれ1曲づつご紹介し解説する楽しいイヴェントです。これに参加すれば、ジャズを中心とした今年の音楽動向が一覧できるお得なイヴェントです。みなさまお気軽にご参加ください。

                        登場 音楽関係者一同



●2019年3月2日 (土曜日) 午後3時30分より
仮タイトル『俳句とジャズ』
フランスを拠点として活動するサックス奏者、仲野麻紀さんは「カイエdu俳句」というブログを運営する俳人でもあります。その仲野さんが同じく俳人でジャズ評論家、そして俳句の著書の編集もする村井康司さんと俳句とジャズについて語り合う、興味深いトーク・イヴェントです。

*詳細は追って告知いたします。

                      対談 仲野麻紀 × 村井康司




● 去る7月28日に開催を予定していた『アワ・マン・イン・トーキョー 〜ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』上映会 参加費1000円+飲食代金 は台風のため延期となっております。

日程が決まり次第、改めて告知いたします。

『アワ・マン・イン・トーキョー 〜ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』上映会

インディ・レーベル『MUSIC CAMP, Inc.』を主宰し、国内外の個性的な「音」を発信し続けている宮田信さん。
その宮田さんを、ロサンゼルスにある「全米日系アメリカ人博物館」のアキラ・ボック監督が追ったドキュメンタリー映画が『アワ・マン・イン・トーキョー 〜ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』です。
先日開催された「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」で上映されたほか、アメリカやメキシコそして全国各地の上映会で大きな反響を巻き起こしているこの作品が満を持して「いーぐる」に登場! 
この上映にあわせて、宮田信さんに、米国に住むメキシコ系、いわゆるチカーノたちの文化・音楽の魅力を語っていただきます。

                              解説 宮田信

いーぐる連続講演第650回
トロンボーン特集・今どきのトロンボーン
1.ヴェテランとヴォーカル <曲名> <リーダー> <アルバム名>

(1)A Voice Through 2012年録音
Conrad Herwig(tb) Ralph Bowen(ts) Criss Cross
Orrin Evans(pf) Kenny Davis(b) Donald Edwards(ds) <5:38>

(2)Trees
Ed Neumeister(tb) Fritz Pauer(pf) 2006年録音
Drew Gress(b) John Hollenbeck(ds) ArtistShare
<8:52>

(3)I Wish You Love <Sliding Hammers>
Mimmi Hammer(vo) Karin Hammer(tb) 2008年録音
Mathias Algotsson(pf) Martin Sjostedt(b) Savvy
Ron E. Gardinet(ds) <3:34>

(4)You Must Believe <Nick Vayenas> 2012年録音
Nick Vayenas(tb vo) Doug Wamble(g) Whirlwind
Dan Kaufman(pf) Rudy Janisch(b) Gulereme Franco(per) <4::26 >

(5)There is No <David L. Harris>
Greater Love 2016年録音
D.L.H.r(tb, vo) Miles Labat(ds) DLEE
Shea Pierre(pf) Jasen Weaver(b) <6:51 >

(6)We Gon Do It <Big Sam`s Funcky
Big Sam(tb vo) Jim Mara(sax) Nation> 2006年録音
Alan Matasar(kyb) Kenny Green(b) Pvine
Ian Hodge(ds) Elliott Cohn(g vo) <4:15>

(7)Electric Lamemt
Julian Soro(sax) Guillaume Nuss(tb) 2016年録音
Tom de Villers(g) Cristal
Stephane Scharle(ds) <3:44 >

2.今どきの4人
<1. Trombone Shorty>

(8)Buckjump
T. S.(vo tb etc) Pete Murano(g) 2011年録音
Mike Bllard(b) Joey Peebles(ds) Verve
Dan Oestreicher(bs) others <4:04 >

(9) You And I <同上 > 2013年録音
Mike Ballard(b) Joey Peebles(ds) Verve
Raphael Saadiq(kyb) <3:51>

(10) Here Come the Girl <同上 > 2017年録音
Tony Hall(b) Joey Peebles(ds) Blue Note
others <4:00>

<2. Alan Ferber>

(11) Scenes From An <Alan Ferber> 2004年録音
A.F.(tb) David Smith(tp) Will Vinson(as)John Ellis(ts) Freshsound
Douglas Yates(bcl)Bruce Saunders(g) Bryan Roberts(pf) <8:18>
Alexis Cuadrado(b)Mark Ferber(ds) AkikoPavolka(vo)

(12) The Compass <同上>
A.F.(tb) David Smith(tp) Will Vinson(as)John Ellis(ts) 2006年録音
Douglas Yates(bcl)Bruce Saunders(g) Bryan Roberts(pf) freshsound
Alexis Cuadrado(b)Mark Ferber(ds) Peter Rende(syn) <9:57>

(13) Flow <同上>
A.F.(tb)SHane Endsley(tp) John Gordon(as)John Ellis(ts) 2016年録音
Charles Pillow(bcl)Nate Radley(g) Bryan Roberts(pf) Sunnyside
Matt Clohesy(b)Mark Ferber(ds)) <9:20>

<3.Corey King>

(14) Black Super Hero 2014年録音
Jamire Williams(ds vo)Corey King(tb vo) Chris Turner(vo)JasonMoran(pf) ultravybe
Matthew Stevens(g) John Ellis(ts) Vicente Archer(b)etc. <7:23>

(15) Noble Noble <Esperanza Spalding> 2016年録音
Esperanza Spalding(vo b) Matthew Stevens(g) Concord
Karriem Riggins(ds) Corey King(tb) <3:34>

(16) Piri Piri <Takuya Kuroda>
Takuya Kuroda(tp)Corey King(tb)Lionel Loueke(g) 2014年録音
Kris Bowers(rh,syn) Solomon Dorsey(b)Nate Smith(ds) Blue Note
<7:04>

<4.Ryan Porter>

(17) Itsy Bitsy Spider <Ryan Porter> 2017年録音
Ryan Porter(tb) Cris Cray(tp)Adam Turchin(ts) Worldgalaxy
Tony Austin(ds) Miles Mosley(b)Justin Sky(rapper) <3:01>

(18)Impressions <同上>
Ryan Porter(tb) Kamasi Washington(ts)Miles Mosley(b) 2008年録音
CameronGraves(kyb) Aron Haggerty(ds) Worldgalaxy
<15:45>

合計 115分



● 第650回 11月24日 (土曜日) 午後3時30分より 参加費 800円+飲食代
トロンボーン特集〜今どきのジャズ・トロンボーン

トロンボーンニューオリンズ・ジャズやビッグバンド・ジャズ時代においては比較的中核的な位置を占めていたものの、楽器の操作性の難しさもありモダン・ジャズ以降はジャズ・シーンを牽引するようなプレイヤーはあまり排出してきませんでした。
しかし最近のトロンボーン奏者にはよりサウンド・クリエイター的で優秀な人材が増えています。
この動きは近年のジャズ界全体の大きな変化とも連動していると思われます。今回の特集では最近のトロンボーン奏者、特に近年のジャズシーンにも広く関与していると思われるトロンボニスト、Trombone Shorty、Alan Ferber、Corey King、Ryan Porter等を中心に「今どきのジャズ・トロンボーン」を紹介させて頂きたいと思います。
そしてそれらを通じて最近のジャズの流れを感じていただければと思います。
多くの皆様のご来場をお待ちしています。よろしくお願いいたします。

                             解説  山中 修




● 11月27日(火曜日)20:00〜22:00
“NEW ARRIVALS”Vol.58

《予約不要、飲食代金のみでご参加いただけます》

今回ユニバーサルさんは、挟間美帆、グレゴリー・ポーター、シャイ・マエトロなど話題のミュージシャンの新譜を、そしてユニオンさんはマイナーながら注目の若手、新人のニュー・アルバムをご紹介する予定です。

ユニバーサルジャズとディスクユニオンの共同主催による、新譜紹介イヴェント。毎回話題の新作をていねいな解説付きでゆっくりとご試聴いただけます。お気に入りのアルバムをその場で購入することも出来ます。ジャズシーンの動向がいち早く知れる話題のイヴェントで、私も大いに参考にさせていただいてます。みなさま、ぜひお気軽にご参加ください。

*なお、試聴中はお静かにお聴きくださりますよう、お願いいたしておりますので、その旨ご配慮ください。




●第651回 12月15日(土曜日)午後3時30分より 参加費1500円+飲食代

チャールズ・ミンガス/ジャズ・イン・デトロイト/ストラタ・コンサート・ギャラリー/46/セルダン』試聴会&トークショー

ジャズ界の伝説的なベーシスト、チャールズ・ミンガスが、1973年、デトロイトのストラタ・コンサート・ギャラリーに残した、未発表のライヴ音源が奇跡的に発掘され、イギリスのレコード会社、BBEから11月に発売。このジャズ・レジェンドの、幻のライヴの正規発売を記念に、いーぐるで4時間に及ぶ驚異的な生録音の一部を試聴しながら、元ジャズ批評の編集長で、数々のジャズの名作の再発と書籍を監修されている著名な音楽ライター、原田和典、さらに1970年代から世界的な活動を続け、ミンガス・トリビュート作もリリースしているベース奏者・藤原清登、両氏を迎え、チャールズ・ミンガスと本作の魅力について語って頂きます。

CHARLES MINGUS
『JAZZ IN DETROIT/ STRATA CONCERT GALLERY/ 46 SELDEN』
発売日:2018/11/07
定価:\5,000(税抜)
フォーマット:CD5
カタログ番号:BBEACDJ453
ジャンル:洋楽/JAZZ
レーベル:BBE
販売元:株式会社ウルトラ・ヴァイヴ
好評発売中

CDの即売あり !

藤原清登 [Double Bass]

高松市出身。音楽家の両親のもとロック大好きサッカー少年として過ごす。16歳でベースを始め東京芸術大学教授、故今村清一氏に師事。1974年渡米。バークリー音楽院を経てジュリアード音楽院大学院卒業。21歳でホレス・シルバークインテットにて米国デビュー後、NYを拠点に活躍。同年に米レーベルMuse、及びStrata
Eastにクリフォード・ジョーダン、シャミーク・ファラのアルバムでレコーディング・デビュー。境界のないジャンルで国際的に活躍する本格派として内外の音楽祭に多数参加。1987年自己のグループMG4結成以来、十数枚のアルバムを発表。2000年スイングジャーナル誌ではベース部門で1位に選ばれ『モダン・ベースの王者』と呼ばれ親しまれている。近年、日本でのCDリリース、コンサート活動も目覚しく、2013年には自己レーベルGARUGANTUAを創設。また洗足学園音楽大学にて後進の指導にもあたっている。
http://kiyotofujiwara.com/



司会進行:原田和典(音楽ジャーナリスト/元ジャズ批評編集長)
藤原清登(ベーシスト)



●第652回 12月22日(土曜日) 午後3時30分より
『好例2018ベスト盤大会』 参加費500円+飲食代

音楽界関係者一同による好例の2018年ベスト盤大会です。参加のみなさま方が今年のベスト盤を持ち寄り、それぞれ1曲づつご紹介し解説する楽しいイヴェントです。これに参加すれば、ジャズを中心とした今年の音楽動向が一覧できるお得なイヴェントです。みなさまお気軽にご参加ください。

                        登場 音楽関係者一同



●2019年3月2日 (土曜日) 午後3時30分より
仮タイトル『俳句とジャズ』
フランスを拠点として活動するサックス奏者、仲野麻紀さんは「カイエdu俳句」というブログを運営する俳人でもあります。その仲野さんが同じく俳人でジャズ評論家、そして俳句の著書の編集もする村井康司さんと俳句とジャズについて語り合う、興味深いトーク・イヴェントです。

*詳細は追って告知いたします。

                      対談 仲野麻紀 × 村井康司




●2019年3月9日(土曜日)午後3:30〜6:00

小学館主催リアルイベント『カルチャーライブ!』

内容:akiko×村井康司氏(JAZZ評論家/本誌「JAZZ日本史連載中/小学館現役社
員)の対談

テーマ:日本のジャズ対談+選定レコード鑑賞(8〜9曲)

*詳細は追って告知いたします。

                 登場 akiko × 村井康司




● 去る7月28日に開催を予定していた『アワ・マン・イン・トーキョー 〜ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』上映会 参加費1000円+飲食代金 は台風のため延期となっております。

日程が決まり次第、改めて告知いたします。

『アワ・マン・イン・トーキョー 〜ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』上映会

インディ・レーベル『MUSIC CAMP, Inc.』を主宰し、国内外の個性的な「音」を発信し続けている宮田信さん。
その宮田さんを、ロサンゼルスにある「全米日系アメリカ人博物館」のアキラ・ボック監督が追ったドキュメンタリー映画が『アワ・マン・イン・トーキョー 〜ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』です。
先日開催された「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」で上映されたほか、アメリカやメキシコそして全国各地の上映会で大きな反響を巻き起こしているこの作品が満を持して「いーぐる」に登場! 
この上映にあわせて、宮田信さんに、米国に住むメキシコ系、いわゆるチカーノたちの文化・音楽の魅力を語っていただきます。

                              解説 宮田信

いーぐる連続講演649回(2018年11月10日)

『追悼、アリサ・フランクリン』

その魅力を、鈴木啓志、鷲巣功、高地明のR&B愛好研究の3巨頭が忌憚なく語る!(進行:佐藤英輔)


●鈴木啓志が選んだ曲

Evil Gal Blues album Unforgettable Columbia 4-43009 (1964)
Sweet Bitter Love album Who’s Zoomin’ Who Arista 259053 (1985)
I Never Loved A Man (The Way I Love You) album I Never Loved A Man The Way I Love You Atlantic 45-2386 (1967)
The Letter album Aretha Arrives outtake (1967)
My Song single Atlantic 45-2574 (1968)
Don't Play That Song single Atlantic 45-2751 (1970)
Heavenly Father album Young, Gifted and Black outtake (1972)
Giving Him Something He Can Feel album Sparkle Atlantic SD 18176 (1976)


●鷲巣功がえらんだ曲

R-E-S-P-E-T album Live At Fillmore West Atlantic SD 7205 (1971 )
Make It With You album Live At Fillmore West Atlantic SD 7205 (1971 )
I Say A Little Prayer album Aretha Now Atlantic SD 8186 (1968)
Natural Woman album Lady Soul Gramophone SMAT-1027 (1968)
Rock Steady Young, Gifted And Black Warner Pioneer WPCR-27653(1972)
Mr.D.J. single Warner Pioneer P-1418 (1975 )
It’s So Heartbreakin’ albam Aretha with Ray Brian Combo Soul Jam 600807 (1961)
Today I Sing The Blues album Aretha with Ray Brian Combo Soul Jam 600807 (1961)
Precious Lord Take My Hand pt.1 album Aretha Gospel Chess MCD 91521 (1956)


●高地明がえらんだ曲

Wholy Holy Single Atlantic 45-2901 from album Amazing Grace edit short version (1972)
One Way Ticket album Sprit In The Dark Atlantic SD 8265 (1970)
Oh Me Oh My (I’m A Fool For You) album Young, Gifted and Black Atlantic SD 7213 (1972)
First Snow In Kokomo album Young, Gifted and Black Atlantic SD 7213 (1972)
Bridge Over The Troubled Water Atlantic 45-2796 promo long version ( 1971)
Until You Came Back To Me album Let Me In Your Life Atlantic SD 7292 (1974)
Without Love album With Everything I Feel In Me Atlantic SD 18116 (1974)
Break It To Me Gently album Sweet Passion Atlantic SD 19102 (1977)

2018年10月31日(水曜日)

後楽園ドームにポール・マッカートニーのライヴを観に行きました。私は2015年のドーム・ライヴも観ているので(ちなみに私はビートルズ初来日公演も観ています)、あれから3年、ポールの変化も興味がありましたが、それ以上に関心があったのは、私が監修している小学館CD付きムック『JAZZ 絶対名曲・コレクション』の『ビートルズ・ジャズ』が現在発売中だからです。

ジャズ・ミュージシャンがビートルズ・ナンバーを採り上げた、『JAZZ 絶対名曲・ビートルズ号』に収録された名曲のオリジナル(厳密には“ビートルズ”ではありませんが)が聴けるのですから、これは逃す手はありません。

冒頭「ア・ハード・ディズ・ナイト」「オール・マイ・ラヴィング」といった懐かしのビートルズ・ナンバーで観客の注目を集め、ポール独立後のナンバー、新曲と進め、後半再びビートルズ楽曲で盛り上げるという演出は巧いもの。それにしても、巨大な爆発音を伴った炎の演出、派手でしたねえ。

今回のポール・ライヴ、2015年の公演に比べ、ブラス・セクションを伴ったバック・バンドも含め全体にロック色が強くなっており、そういう意味ではまったく別物と言って良く、やはり観た甲斐はありました。率直に言って、「じっくり歌を聴かせる」という意味では前回の方が良かったのですが、ロック・ミュージシャンとしてのポール、あるいはビートルズという視点では、やはり出色のライヴでした。2万円近くの出費でしたが、ソンした気は毛頭ありません。

それにしても2時間半に渡る長丁場、一度も水を飲まないポールは駱駝のように体内に秘密の貯水タンクでも備えているんでしょうかね。これは前回も驚いた点でしたが、あれから3年、ポールだって相当の年なのにこの気力・体力・耐久力、私のような老人世代は大いに啓発されましたね。もっと筋トレやらなくちゃ。

『JAZZ 絶対名曲コレクション』の監修者としても改めて大きな発見がありました。それは現在発売中のシリーズVol.2『ビートルズ・ジャズ』にも書いたことですが、「スタンダード」として見た場合のビートルズ・ナンバーの色の濃さです。

ビートルズ・ナンバーは言うに及ばず、ポール独立後の楽曲にも、ビートルズ時代との連続性が窺えるのです。楽曲のテイストは2015年のライヴで中心だった「歌で聴かせるタイプ」と今回の「演奏で盛り上げるタイプ」という違いはあるのですが、そのどちらにもポールのあるいはビートルズのカラーが出ているのは大したもの。


最後に『JAZZ 絶対名曲コレクション Vol.2ビートルズ・ジャズ』収録曲と今回のポール・ライヴの重複楽曲を挙げておきましょう。


「All My Loving」リタ・ライス歌唱
「Blackbird」カサンドラ・ウィルソン歌唱
「Elenor Rigby」ウェス・モンゴメリー演奏
「Yesterday」サラ・ヴォーン歌唱


ドームでポールのロックに酔ったみなさん、その「ジャズ版」に興味を持たれたらぜひ『JAZZ 絶対名曲コレクション Vol.2ビートルズ・ジャズ』をご購入下さいね! 監修者として絶対のお奨めです!

2018年10月6日(土曜日)


【『JAZZ 絶対名曲コレクション』創刊記念イヴェントのご報告】


土曜日は多くのお客様にご来会いただき、ほんとうにありがとうございました。この場を借りてあつく御礼申し上げます。また、予想以上のみなさま方に創刊号お買い上げいただいただけでなく、全巻予約までしていただき、ほんとうに嬉しく思っております。とりわけ、「全巻予約」の方は当店の常連さんであり、いつもランチを食べに来てくれるお客様。これは今回のシリーズの「眼に見える有力な顧客層」ということで、大いに励みとなっただけでなく、今後の監修作業の参考ともなりました。

従来、このパート4に及ぶ「JAZZ 100年シリーズ」の読者層は、潜在的なジャズ・ファンというか、入門的な方々であるという先入観があったのですが、今回の新シリーズについては、「ジャズ喫茶の常連さん」というコアなファン層の方々にも、関心を持っていただけたということがわかったのですね。それを裏付けるように、来会者の中には他にも大勢の「ジャズ喫茶常連さん」の顔が見うけられたのです。これはこれまでのシリーズの創刊イヴェントにはない現象でした。

コアなジャズ・ファンの方々にも興味を持っていただけたのは、事前に私が個人ブログで「〜こうしたジャズ・シーンの隆盛を今一つ実感できないのが、従来からのベテラン・ファンという皮肉な現象も一部に垣間見られるようです。それは、この方々が今起きている「ジャズ史の見直し現象」に追従し切れていないことが原因のように思えます。」と、書いたことが影響しているのかな、などと思いました。

また、「いーぐる」の掲示板とツイッターで、「ジャズ評論の先達、野川香文氏の至言『ジャズに名演あって名曲なし』についての監修者後藤雅洋による現代的新解釈、そして『JAZZ絶対名曲』というアイデアはまさに現代ジャズマンの発想であることなど、多岐に渡る内容になります。」と書いたことも、コアなジャズ・ファンのみなさまの関心を引いた要因かもしれません。

というわけで、イヴェントにおいでいただけなかったみなさま方に向け、当日のご報告をさせていただこうと思います。司会は本シリーズの担当編集者、池上信次さんです。



【イヴェント報告】


冒頭、小学館の小林編集長から刊行に至る経緯が紹介されました。要約すると、4年間104巻に至る既刊の売れ行きを分析した結果、やはり読者の関心は「楽曲」にあるという結論に達し、そこから「JAZZ絶対名曲」というコンセプトが生まれた、という内幕話でした。

これはまったく「販売側」の戦略と言っていいのですが、それが奇しくも現代ジャズマンの発想(前回のブログの「グラスパー発言」をご参照ください)と一致していたのです。しかしよく考えてみれば、こうした現象は不思議でも何でもないのですね。膨大な数の「読者層」のアンケート回答、販売実績を基にした分析は、ジャズファン、そしてそれを上回る数の潜在的ジャズファン層の欲求を表しており、先鋭な感覚を備えた現代ジャズマンは、それをきちんと掬い取っているということなのです。ジャズはそれぞれの「時代の音楽」でもあったことを思い起こさせてくれる出来事と言っていいでしょう。

とは言え、こうした「現象」自体に対して、従来からのベテラン・ジャズ・ファンの方々から、ある種の不信感が醸し出されるであろうことは、監修者である私自身よく承知しておりました。その「不信感」を要約すれば、ジャズ評論の先達、野川香文氏の至言「ジャズに名演あって名曲なし」ということになるでしょう。ですから、『JAZZ 絶対名曲コレクション』創刊号では、この野川氏の発言を導入として、その「21世紀的理解」をご紹介していますので、ぜひお手に取ってご一読ください。イヴェントでは、こうした事情についても、野川さんの著作に触れつつ解説いたしました。

『JAZZ 絶対名曲コレクション』の基本コンセプトは、「名曲から名演へ」つまり親しみやすい曲想を導入として、「個性的表現」というジャズならではの聴き所を、ジャズに興味を持ちつつも「敷居の高さ」から二の足を踏んでいるような潜在的ジャズ・ファンの方々へとお伝えしようというところにあります。

私自身、ジャズを聴き始めたころは「演奏の質」、つまり名演かどうかについての評価など出来ませんでした。それも当然で、ジャズ演奏の質は「ジャズ的価値観」を体感していないと難しいのですね。「ジャズ的価値観」とは、前述の「個性的表現」を体感するということです。しかしそれにはある程度ジャズを「聴き込ま」なければ難しい。

それに比べ、「曲想」に対する評価はジャズ初心者でも比較的容易なのです。それについて創刊号で、「高校生の頃、友人が弾く『テイク・ファイヴ』を聴いてジャズに興味を持った」という個人体験を披露しています。それと同時に、バド・パウエル作の「クレオパトラの夢」が、「パウエルが弾いているから名曲だったのだ」という体験も披露し、これがいわゆる「ジャズがわかって来た」ということだったと解説をしています。

しかしこの「パウエル体験」は、野川さんの発言の趣旨をなぞっていたのですね。というわけで氏の著書を一部引用してみましょう。

「ジャズ音楽に名曲というものは無い。けれ共、素晴らしい演奏、名演がされた場合においてだけ、それは名曲だといえる。」『ジャズ楽曲の解説』昭和26年(1951年)刊p,7より引用

お分かりかと思いますが、野川さんの説は私の初心者体験のうち、「パウエル体験」については妥当しますが、「テイク・ファイヴ体験」に対しては若干距離があります。だって、高校生のアマチュア・ピアニストの演奏が「名演だった」ということは考えにくいでしょう。

それが名演であるかどうかの判断が付かずとも、「ああ、いい曲だなあ」ということはジャズファンで無くともわかるという体験的事実を、「野川説」だけではうまく説明できないのです。

つまり私のテイク・ファイヴ体験が示しているのは、「楽曲」についての感想は必ずしもジャズに親しんでいない人間、つまり名演かどうかの判断の付かないジャズ初心者でも出来るということを示唆しているのです。そしてこの体験的実感が、『JAZZ 絶対名曲コレクション』のコンセプトを後押ししているのですね。

こうした現象を包括的に説明するには、次のように考えるべきでしょう。私たちは音楽を聴いたとき、演奏の質はさておき、それをまずはメロディ・ラインとして把握するという事実です。名演であったときはもちろん、そうではなくとも、「テイク・ファイヴ」や「クレオパトラの夢」あるいは「枯葉」といった楽曲を、私たちは「好ましいもの」として体感するという経験則です。

『JAZZ 絶対名曲コレクション』はこうした事実に基づき、「名曲」というわかりやすい理解でジャズに接した方々に、「実はそれは名演なのですよ」ということを実感していただこうという寸法なのです。

そして、ある演奏が名演であることが実感できるようになるということは、ジャズマニアが口にする、即興的要素だとか個性的表現、そして生々しさ、グルーヴ感といった一連の「ジャズならでは」の好ましい特徴を体感できるようになるということなのです。

そしてこうした『JAZZ 絶対名曲コレクション』の「戦略」が、奇しくも現代ジャズマンの発想と一致していることも、イヴェントでは詳しく説明いたしました。その具体例は、意外かもしれませんが本シリーズVol.3『クリスマス・ジャズ』で、カマシ・ワシントンの「フィスト・オブ・フューリー」を実例にあげ詳しく解説していますので、発売されたら(11月13日発売)ご一読いただければ幸いです。

ちなみに、このブルース・リー主演の映画『ドラゴン怒りの鉄拳』の主題曲「フィスト・オブ・フューリー」は、本シリーズVol.14『XXX(新元号)のジャズ』(21世紀の「至上の愛」2019年4月16日発売)でご紹介する予定です。


【当日ご紹介した音源】

1, 「クロース・トゥ・ユー」:カーペンターズ / エラ・フィッツジェラルド
2, 「ノルウェイの森」:ザ・ビートルズ / セルジオ・メンデス&ブラジル’66
3, 「アイ・キャント・ヘルプ・イット」:マイケル・ジャクソン / エスペランサ
4, 「枯葉」:イヴ・モンタン / マイルス・デイヴィス(別テイク)/ ジュリアン・レイジ
5, 「八木節」:民謡歌手 / 山中千尋
6, 「マイ・フェイヴァリット・シングス」:ダイアナ・ロスシュープリームス
7, 「スペイン」:平原綾香

10月1日(月曜日)

【“JAZZ 100年”パート4『JAZZ 絶対名曲コレクション』創刊のご挨拶】


今から4年前、2014年4月から小学館隔週刊CD付きマガジン『JAZZ 100年』全26巻の監修を担当し、翌2015年4月よりはシリーズ・パート2『ジャズの巨人』全26巻、そして2016年5月に始まったパート3『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』は、当初1年間26巻の予定が好評につき、2年に渡る全52巻もの刊行となりました。これら「JAZZ 100年シリーズ」は合計104巻、累積販売実績は何と二百数十万部を超えるジャズ本としては異例の大ヒットとなりました。

ちなみにこれらはすべてCD付きですから、同時にジャズのCDが二百数十万枚以上売れたことになります。出版不況、CD販売不振と言われている折、これは明るい話題だと思います。

しかしジャズ・シーンの現況を知っている方なら、さほど驚かれることでは無いかもしれません。要するに今、「ジャズが面白い」のです。私自身ここ5年ぐらいでジャズ・シーンが大きく変化しているのを肌で感じ取っています。ライヴが面白く、新譜に良い作品がたくさん出てきたのですね。これはここ十数年無かった現象です。

それを裏付けるように、「JAZZ 100年シリーズ」が始まった同じ年2014年2月には、シンコー・ミュージックから柳楽光隆さんが監修するムック『ジャズ・ザ・ニュー・チャプター』略称『JTNC』の第1巻が刊行され、こちらも現在はVOL.5が出ており、いずれも好評で増刷されています。

ところで、私が監修している「JAZZ 100年シリーズ」と柳楽さん監修の『JTNC』では、内容が対照的なので当然読者層も異なっているはずです。オーソドックス路線で大人が多い私の読者層と、斬新な内容で若い読者を掴んでいる柳楽さんの購買層では、およそ共通点が無いように思えるのです。しかし、そのどちらもが売れているのですね。

当初、この異なる読者層の並行現象は少々不思議に思っていたのですが、近ごろ両者の共通点が見えてきました。正確にリサーチしたわけではありませんが、『JTNC』の読者は探求心旺盛な音楽ファンではあっても、従来「ジャズ」に対してちょっと「様子見」をしていた風情が窺えるのですね。

具体的には、ロックやヒップホップの動向には詳しくても、ジャズってどうよ、といささか斜に構えていたような方々に対して、柳楽さんが適切なガイドラインを与えたことによって、「新たなファン層」を獲得しているように思えるのです。それを裏付けるように、『JTNC』が採り上げたミュージシャンの来日ライブの観客層は、私が知っている従来のジャズ・ファンとは少しばかり様子が違うのです。「ブルーノート東京」などに押し寄せる彼らのファンは、若くお洒落なカップルが数多くみられるのですね。

他方、私が監修しているシリーズの購買者像をアンケート回答などから浮き彫りにしてみると、ジャズに関心は持ってはいるが、今まで「敷居の高さ」を感じていたような方々なのです。要するに年齢層や音楽体験こそ異なれ、どちらもジャズに対して「潜在的関心」を持っていた方々が、新たにジャズに参入して来たと見ることが出来るのです。まさにジャズ・ファンの純粋増です。

こうした方々が活性化しているジャズの現況を眺め、それぞれのスタンスで情報を求めた結果が、「JAZZ 100年シリーズ」「JTNC」の成功に繋がったと私は観ているのです。そしてこうした現象の大元は、ジャズ・シーンの活況にあるのです。

ところで、こうしたジャズ・シーンの隆盛を今一つ実感できないのが、従来からのベテラン・ファンという皮肉な現象も一部に垣間見られるようです。それは、この方々が今起きている「ジャズ史の見直し現象」に追従し切れていないことが原因のように思えます。


【『ジャズ絶対名曲』とは?】

さて、こうした状況において、小学館から「JAZZ 100年・パート4」として、私が監修する隔週刊CD付きムック『JAZZ 絶対名曲コレクション』(全14巻)が10月2日(火曜日)に創刊されるのですが、まさにその内容は現代ジャズ活況に至る「伏線」の様相を帯びているのです。

その前に「ジャズ絶対名曲」という言葉の説明をしておきましょう。これはスタンダード・ナンバーの見直し、つまり「21世版スタンダード」ということです。そしてその目的は「名曲から名演・名唱へ」なのですね。わかりやすく言うと、良く知られた楽曲を導入としてジャズの魅力に親しんでいただこうということなのです。

現代ジャズの特徴をひとことで言い表せば、ポピュラリティの重視と、それを実現させるために、様々な手法を積極的に取り入れていることが挙げられるでしょう。それはヴォーカル、コーラスの多用だったり、楽曲・アレンジの重視といった形で現れています。

今を時めくシーンの開拓者、ロバート・グラスパーは2012年に発表したアルバム『ブラック・レディオ』(ブルーノート)で、人気R&B歌手エリカ・バドゥジョン・コルトレーンの演奏で知られた「アフロ・ブルー」を歌わせています。彼はこのアルバムについて、「従来のジャズ・ファンとそうでない人たちとの懸け橋になればいいと思って作った」と言っています。

この発言には「ポピュラリティ重視・ヴォーカル・良く知られた楽曲」という、先ほど挙げた現代ジャズの特徴が見事に網羅されています。

こうした「21世紀ジャズの特徴」は、表面的な形を変え、多くの現代ジャズ・ミュージシャンたちに窺えます。2016年に発売されたイギリス、マンチェスター出身のグループ、ゴー・ゴー・ペンギンのアルバム『マン・メイド・オブジェクト』(ブルーノート)は、アコースティック・エレクトロニカなどと称された、ジャズ・ピアノとしては極めて斬新なメロディ・ラインが実に印象的でした。

さっそく彼らのライヴに行ってみて驚いたのは、一見新奇さが売り物のように見えるこのピアノ・トリオの、ジャズ・グループとしての実力でした。ロブ・ターナーのドラミングの凄さは言うまでもありませんが、ベーシスト、ニック・ブラカのテクニックが素晴らしい。この両者が生み出す極上のグルーヴ感は、まさに「どジャズ」なのですね。そこに、クリス・イリングウォースのピアノが絡むことによって、このチームの魅力が醸し出されているのです。

彼らは斬新な旋律≒楽曲をフックとして、リズム重視、圧倒的なグルーヴ感といった、伝統的なジャズの魅力を私たちに伝えているのです。

また、既にベテランの域に達したギタリスト、カート・ローゼンウィンケルが2017年に出した話題作『カイピ』(ソングX)の魅力も、ブラジル、ミナス地方の音楽を意欲的に取り入れた「曲想の斬新さ」が大きな聴き所でした。その後、彼が引き連れてきた「カイピ・バンド」のライヴも見ましたが、やはり曲想の魅力を借りつつ、カートのオリジナリティが発揮された、まさに「ジャズ」になっていたのです。

そしてカマシ・ワシントンです。今年発売された彼のアルバム『ヘヴン・アンド・アース』(ビート・レコード)は、私が柳楽さんと共にライナー・ノートを書かせていただいたのですが、3枚組CDの冒頭「アース編」に収録されていたのが、なんとブルース・リー主演の映画『ドラゴン怒りの鉄拳』(日本公開1974年)の主題曲「フィスト・オブ・フューリー」なのですね。これには私も驚きました。

その効果は抜群なのです。いかにも格闘技映画のテーマソングらしいリズミカルでキャッチーな旋律は、聴き手を一気に演奏の魅力に惹き込む力を持っているのです。重要な点は、原曲のメロディを忠実に再現しつつも、女性コーラスや分厚いバック・サウンドの巧みな使用で、いかにもカマシらしいダイナミックで刺激的な「現代ジャズ」に仕上がっているところです。

このように、グラスパー、ゴー・ゴー・ペンギン、ローゼンウィンケル、カマシと、その表面的スタイルはまったく異なってはいても、彼らの発想の中心に「曲想の重視」があることがわかります。付け加えれば、マリア・シュナイダーのラージ・アンサンブルや挟間美帆の音楽が注目されているのも、楽曲・アレンジといった要素が再評価されている証左でしょう。

ところで、こうした現象がどうして「ジャズ史の見直し」なのでしょうか? それは、彼らがチャーリー・パーカーに始まる即興重視の「モダンジャズ史」を相対化し、それ以前のベニー・グッドマンに代表されるスイング・ミュージックや、ルイ・アームストロングの歌唱が持つ「ポピュラリティ」、そしてデューク・エリントン楽団のバンド・サウンドに象徴される「サウンド重視≒アレンジ・楽曲重視」といった、よりスパンの長い「ジャズ史」を射程に入れているからなのです。

こうした事実を裏返すと、即興重視で芸術志向の「モダンジャズ史」が身に染み付いた「伝統的ジャズ・ファン」の一部の方々における、「現代ジャズのわからなさ」に繋がるのではないでしょうか。

そして『ジャズ絶対名曲コレクション』です。ここで私たちが提唱する「スタンダード・ナンバーの見直し」とは、従来楽曲を素材とみなす傾向の強かった「モダン・ジャズ」の時代においても、アンダーカレント、伏流水のように「楽曲から演奏へ」という方向を探っていた一連の試みを、「名曲から名演・名唱へ」そして「楽曲の魅力からジャズの聴き所へ」という形で、潜在的ジャズファンのみなさま方にわかりやすくプレゼンテーションする試みなのです。

『ジャズ絶対名曲コレクション』の音源を用いたより具体的な解説は、今週末10月6日(土曜日)午後3時30分より、「いーぐる」にて行います。参加費無料で飲食代金のみでどなたでもお気軽にご参加いただけます。当日は創刊号の発売も行い、購入された方々には素敵なプレゼントもあります。

また、全巻ご予約の方には、前代未聞とも思えるマイルス・デイヴィス公認の豪華な「特性リラクシン万年筆」がプレゼントされます。これはプレミア付き必至ですね!