4月11日(土)

今日の「いーぐる連続講演」は、com-postプレゼンツ「80年代の100枚」。ジャズ史的にまだ定説の確立していない1980年代という微妙な時期を、村井さん、益子さん、須藤さん、原田さん、八田さん、そして私の6名のcom-postメンバーが100枚のアルバムを選出することによって、時代のアウトラインを描き出してみようという試みだ。
選出された100枚のリスト、選考過程の前半は私たちのジャズサイトcom-postに掲載されているのでそちらをご覧いただきたいが、今日はジャズファンの皆さんの前にメンバー全員が顔を揃え、各自2曲ずつ自分が選出したアルバムから曲をかけ、それについてメンバー同士で討議するというイヴェント。要するに電脳空間(古いなあ)上の人格が現実の世界に顔を晒し、読者のみなさまがたとコミュニケーションをとるという試みだ。
トシの順にかけることになり私、村井、須藤、益子、原田、八田と音を聴くうち、面白いことに気が付いた。明らかにジジイの私、オヤジの村井さんのかける音は、ノイジージョン・ゾーンに象徴されるトンがり系、それに対し、中堅、須藤、益子コンビは、たとえば、チックの『スリー・カルテット』など、まっとうなジャズ。そして、若手の原田、八田組は、まさに王道路線のスタン・ゲッツなのだった。これはいったいなんなんだ。まあ、俗に言われるように、ジジイほど若ぶりたいってことか、それとも若者の保守化傾向か。
最後に司会者の益子さんから「総括」を求められ、100枚選考リストの選者「連帯率」などと、ほとんど無関係な与太話を口走ってしまったが、やはり頭に浮かんだのはジャズシーンにおける「切断面」のことだった。そしてそれは例の「ポストモダン論議」に結びつく。詳細な内容はいずれサイトに掲載の予定なので、とりあえずのご報告ということでご勘弁を。
打ち上げは例の福翔でアイルランド音楽研究家おおしまさんらを交え、com-postメンバー一同楽しく音楽談義。おおしまさんとは、長く一つの音楽ジャンルにかかわったもの同士の実感を語り合う。実に充実した一日であった。