12月19日(土)

昨晩のこと、店で仕事をしている最中に、眼に虫が入った、と思った。忙しいのでとりあえずそのままにしておき、後でこすってもとれない。ああ、これはものもらいかなあ、それにしてもピーナッツを食べ過ぎたりはしていないのに、、、などと思いつつ、鏡を見てびっくり、右目が赤目不動様と化している。これはヤバイと思い、家に電話し、どうすべきか相談すると、他愛もなく「良くあること」でおしまい。しかし、見た目は相当ブキミで、きっとお客様は「ああ、後藤はいいトシして相変わらずストリートファイトか」とか、あるいは、「スパーリングで眼に指突っ込まれたな」などといらぬ詮索をされることは必定。そこで今日の2009年ベスト盤大会は、それについての事情説明で開幕。
それはさておき、私の前ふりは相当に消極的で、このところジャズの新譜で、「コレッ」というものはあまりなく、きっとまあまあの作品が並ぶに違いない、などと言いつつ、自選盤、Miroslav VitousのECM新譜をご紹介し、皆様のかける音に耳を澄ませば大違い。自分の知らなかった力作が目白押しなのだ。たとえば、原田さんのかけたEthnic Heritage Ensembleなど、名前もまったく知らなかったが、即、購入を決断。まあ、ロフトジャズの現代版という言い方も出来ようが、その迫力、根性は尋常でない。聞くところによれば、これは、「メアリー」の後継者、松尾さんの推薦という。福島さんなきあともメアリー・ジェーンの情報発信基地としてのアンテナはまことにシャープ。
また、村井さんがかけたJon Hollenbeckのラージ・アンサンブルも、ほとんど即興の要素が無いそうだが、そういうこととは無関係に、たとえようもなく美しい。ほかにも、ジャズではないがおおしまさんのおかけになったStelios Petriks の演奏も、音楽を聴くときにジャンルにこだわることのもったいなさを心から実感させてくれた。
などなど、言い出せばきりが無いか、ハッキリ言って、かかった音源だけで判断すれば、明らかに2008年ベスト盤大会より粒がそろっている。これはいったいどういうことなのだろう。少なくとも私にとっては、「情報不足」のひとこと。これは前回のロック・イヴェントの際、中山さんが言っていたことなのだが、「ロックの現状について、誰もキチンとした情報を与えてくれない」のだ。ロックをジャズに入れ替えれば、まったく同じことが言える。そこで改めて、自前の情報活動としてのcom-postの役割を自覚した次第。
思いのほか「音」のクオリティが高かったこともあり、打ち上げは真剣かつ和やかな音楽談義で大いに盛り上がる。何事もそうなのだが「やってみなければわからない」「聴いてみなければわからない」なのだった。