9月18日(土)

歌声に身をゆだねる心地よい時間が過ぎてゆく。山中修さんによるジョニ・ミッチェル特集、理屈も何もなく堪能させていただきました。自分では気が付かなかったのだが、山中さんがジョニに注目したのは、はるか昔いーぐるで盛んにジョニのアルバムがかかっていたからだそうだ。

確かに『ジャズ喫茶「四谷いーぐる」の100枚』(集英社新書)にも書いたとおり、ジョニの『ミンガス』(Asylum)など、よくかけていた。そして、その本にも書いたが、私がロック歌手である彼女を知ったのは、ロック喫茶『ディスクチャート』時代だったのだろう。1972年ごろのことである。

私が彼女を気に入ったのは「声」である。もちろん歌いまわしや曲も好きだし、サイドマンのジャコ、ショーターも素晴らしいけれど、やはりポイントは声だ。ちょっと癖のある声質だけど、一聴して彼女とわかる歌声は、ジャズだとかロックといったジャンルを超えた魅力がある。

良い講演は「良かったなあ」のひと言でそれ以上何も言うことはないのだけど、ヒョーロン家の悪い癖で、つい彼女の魅力について考えてしまった。なんと言うか、彼女の歌声からは、しっかりと芯の一本通った強靭な人柄みたいなものが伝わってくる。あまり歌や演奏の「背後」を詮索するのは趣味ではないけれど、声自体にその人間が現れるということはあると思う。ジョニはいい。