1月20日(木)

正月のブログに、「新年の抱負」を書く前に去年の「ブラインド大会」のご報告をしたので、「抱負」の方はお預けのままだったが、抱負より先に予定が具体化してしまった。

3月26日に「めぐろJAZZ研」さんと共同開催する『「私の好きなジャズ」その3〜チャーリー・パーカーの魅力を語りつくす』の打ち合わせのために、「めぐろJAZZ研」の代表、平岡さんと荒井さんが来店する。この催し、偶然の成り行きから当初よりはるかに魅力的なものとなった。いきさつをご説明しよう。

「いーぐる連続講演予定」をお読みいただいた方々はもうご存知だろうが、今年はジャズ評論界の大物お二方に、それぞれいーぐるでシリーズ講演をやっていただくという豪華なこととなった。中山康樹さんの『ジャズ・ヒップホップ学習会』と、村井康司さんの『ジャズ史で学ぶ世界の七不思議』である。どちらも『JAZZ JAPAN』の記事と連動した立体企画だ。

お二方とは過去に何回も共にジャズ本を作ってきた間柄なので、ここは私も何かやらなければと刺激され、何をやるか考えた。中山さんのシリーズは「学習会」と銘打っていることからもわかるように、ある種のジャズ史の見直しであり、つまりは啓蒙的なものだ。また、村井さんの『JAZZ JAPAN』の連載記事も、従来のいささか「視野狭窄」的ジャズ史に、より広い視点から光るを当てる意欲的な試みだ。そこで「啓蒙方向」はお二方にお任せし、私はすこし遊ばせていただこうとムシのいいことを思いついたのである。

ちょっとエエカッコシのところもあるが、私は以前から店の営業やジャズ本では個人的趣味は控え、ジャズそのものを幅広くご紹介することをモットーとしてきた。もちろんはそうは言っても人間のやること、無意識の領域で「私の理解の範囲」という「枠」を超えてはいないだろう。しかし、最初から居直って「所詮趣味なんだよ」という姿勢はとりたくないのだ。

そうした「縛り」をちょっと外してみたら、というのが今回の私の連続講演『私の好きなジャズ』なのである。もちろんジャズを「所詮趣味」などとは思っていないが、あらかじめ「個人的好みである」とお断りしてからご紹介する分には、問題ないだろう。そして少々不遜な響きもあるが、「たまたまではあるけれど、私の“趣味”はさほどジャズの本筋から外れてはいないのでは・・・」という思いも正直に告白しておこう。付け加えれば、以前から「後藤さんの好きなジャズマンは?」というご質問を必ずと言って良いほどお客様方や、雑誌等の取材のみなさんから訊かれるので、この際一挙に公開してしまおうと言う腹つもりもある。

このシリーズ、3回目まで予定を決めていたのだが、それとは別に、以前「めぐろJAZZ研」の方から「ジャズ喫茶巡り」という催しに登場しないかというお話があり、内容を聞いてみると、なんとジャズ界の大御所、瀬川先生と、同じくチャーリー・パーカー研究の第一人者、三浦さんのお二方とパーカーについて語ってみませんかというのだ。

「渡りに船」とはこのことで、ほんとうに偶然なのだが、初めから3回目は「大物編」としてチャーリー・パーカーなどをご紹介しようと思っていた『私の好きなジャズ・シリーズ』を、急遽、これも偶然ながら同じく3回目の「めぐろJAZZ研」さんの「ジャズ喫茶巡りシリーズ」の3回目と合体させてしまおうということになったのである。

その結果、『私の好きなジャズ』の3回目は「めぐろJAZZ研」さんの「ジャズ喫茶巡り、その3」として、瀬川先生、三浦さんというパーカーを語るに絶好の方々とご一緒できることとなったという次第である。今年は春から縁起が良い。