12月9日(土)
今日のいーぐる特集はブッカー・リトル。耳の良さでは定評がある阿部ちゃんの選曲は、スラスラと心地良く身体に浸透する。とは言え、あらためて固め打ちでリトルを聴けば、それなりの発見はある。やはりこの人もドルフィーとの出会いが決定的だったようだ。明らかにドルフィーとの共演によってソロの質が格段に向上し、演奏のテンションも上がっている。
アフター・アワーズでかなり重要な議論が出てきた。まず、林さんがリトルのトランペッターとしての「過渡期的」性格を指摘したが、これはそのとおりだろう。アーリー・ジャズからはじまり、ビ・バップを徹底的に聴き込んだ林さんの蓄積が効いている。
その「聴いた体験の蓄積」に絡め、益子さん須藤さんらがジャズファンの「共通認識」の話題を持ち出したが、確かに「聴いていない人」とは、どうやってもコミュニケーションをとることは難しい。加えてそういう方々はディス・コミュニケーションの責任が自分にあるとは思わず、えてして「好み」の問題に帰結させようとしがちだ。まあ、無知をかこつのは本人の自己責任だから致し方ないが、もったいないといえば、モッタイナイ。
雑談に移り、私がECMの権威、須藤さんに、「黒いECM」ってタイトルでなにかやってくれと、まったくの(無責任かつ無理な)思い付きを口にする。しかしそれって難しいよね。黒人リーダーのECMって、AEC、ドン・チェリー、デューイ・レッドマン、サム・リヴァース、ジャック・デジョネットとあと誰がいたっけというところで、早くも挫折。チックは個人ブランドで括るべきだからちょっと違うよね、などと思いつきは思いつきに過ぎないことが露呈されたのだった。