2月7日(土)

益子さんの「新譜特集」、昨年私たちが始めたジャズサイト”com-post”と連動しているので、必然的に私の関心も高くなっている。つい先日、いっきさんとやった次号『ジャズ批評』対談でも、最近のいわゆるニューヨーク派のジャズをどうファンに紹介していくかが大きな話題となった。
益子さんもその辺りを考えたのか、最初に、クリス・チーク、クリス・スピードといった益子さんに言わせれば比較的“わかりやすいもの”“ジャズっぽいもの”を並べ、エレファント9であるとか、トニー・マラビーのようなちょっと刺激の強いものは中盤から後半に並べたそうだ。ところが私の耳には、むしろ中盤以降のアルバムの方が面白く聴け、冒頭の演奏は良いのだけれどどちらかと言うとモノトーンに聴こえてしまった。
発見は、こうしたバリバリの“最新傾向”の中に、現在”com-post”にクロスレビューが掲載されている市野元彦の演奏が混ざっても、まったく違和感がないどころか、私にとっては相当上位にランクされるレベルであることが確認されたことだ。日本のジャズは確実に変わりつつある。
打ち上げに雑誌『世界』のIさん、某有名タイヤメーカーに勤務するKさんらが加わったので、いつもと違ったジャズ話題が展開される。『ジャズ喫茶リアル・ヒストリー』を読んでいーぐる連続講演に参加してみたというIさんが私に「スイング」ということばの意味を尋ね、それに対する返答を巡り打ち上げ参加者一同から諸説が開陳されるが、こうした議論は実に参考になる。
また、清楚な外見からビル・エヴァンス辺りのファンかと予想をした、いーぐる常連だった女性技術者Kさんから、意外や「私、ハンク・モブレイ好きなんです」ですと言われ、思わず「どんなアルバム?」という私のツッコミにも、実に正しく『ソウル・ステーション』(Blue Note)がいいですねえという回答。しかもケリーのピアノが最高とおっしゃる。この場に阿部ちゃんがいたらさぞ喜んだことであろう。
ともあれ、いろいろなファンの方々との直接交流は、マニアの世界にドップリ浸かった私の発想をリフレッシュしてくれる。Iさん、Kさん、また来てくださいね。