5月24日(土)

サルサといえばサルサソースぐらいしか知らないラテンオンチですが、真保みゆきさんによるウィリー・コローン特集、良かったです。まあ、「サルサソース云々」は冗談で、以前伊藤嘉章さんに映像付きでニューヨーク・サルサの実態を講演してもらい、かなりこの音楽ジャンルが気に入っていました。何より陽気で楽しい。

さて、今回のウィリー・コローンに焦点を絞った真保さんの講演ですが、いろいろと思うところがありました。まず、「違う音楽ジャンル」のディティールってほんとうに微妙。つまり、キューバ・テイストやらブラジリアン・フレイヴァーといった多様性がコローンの音楽の特徴という真保さんの解説、アタマでわかってもそれこそ伊藤さんたちのようにカラダでわかっているかというと、かなりアヤシイ。

でも、なんとなくではあるけれど、感じるものはあるのです。「いろいろと思うところ」というのは、おそらくジャズを聴き始めたばかりの方々がクール・ジャズとウェスト・コーストの違いが良く聴き分けられないのと同じようなことなんだろうなあ、などと思ったことですね。

個人的には後半に紹介された音源が面白かった。列挙するとWillie Colon “She Don’t Know I’m Alive / Alive Dub One” (from “She Don’t Know I’m Alive “12” 1986), Ticklah “Mi Sonsito” (from “TICKLAH VS AXELROD” 2007), Willie Colon “Amor De Internet” (from “EL MALO VOL.2 PRISIONEROS DEL MAMBO” 2008)といったところ。

そしてなにより打ち上げでの会話が楽しい。真保さん、荻原さん、そしてレコードコレクターズの祢屋さんらと、故中村とうようさんの思い出話などに花が咲く。また、これだけ濃いメンバーによるワールド・ミュージック界隈の四方山話を聞けたのは、私のようにジャズしか知らない人間にとっては実にありがたいこと。

前回の岡本さんの講演もそうだったが、「ジャズの外側」からの音楽談義はにはいつも眼を啓かされる。こうした幅広い音楽人脈は実にありがたい。真保さん、荻原さんに次回講演の依頼を取り付け、楽しい一夜が終わった。