10月24日(土)
マンボラマ幹事長、岡本郁生さんとモフォンゴ伊藤さんによる「サルソウル・レーベル特集」、私の知らないことがいろいろあったんだなーと深い感慨。というのも、このレーベルが設立された1970年代の音楽シーンはうっすらとではあるけれど知っていたはずが、この辺りの動きはまったく未知。
とは言っても今回ご紹介いただいた音源はまったくなじみが無いということではなく、また純粋に音楽としても楽しめるもの。講演は3部構成で、まず最初のコーナーはサルソウル誕生のキーパーソンである、ジョー・バターンの紹介。
この人の名前は知っていたけれど、実際どういう経歴のミュージシャンなのか、またいかなる文脈に属するのかということはまったく無知。岡本さんの解説によるとフィリッピン系らしい。なるほどそれで名前が「バターン」なのか。
余談ながら、店の若いけれど有能なスタッフに「“バターン死の行進”って、知ってるか?」と訊けば、ちゃんと知っているというではないか。エライ! いくら若くてもちゃんとした「歴史認識」(笑)を持っている方々もおいでになるのだ。これでジジイは安心して死ねる。
それはさておき、出てくる音はかなり色の濃いもので、アフターで岡本さんが「アレはフュージョンですよね」と尋ねられたが、むしろ「バターン・ミュージック」という色彩が濃く感じられた。しかしラテンとブラックの融合ということは良くわかる。
2部はサルソウルを代表するヒット作の紹介。サルソウル・オーケストラやダブル・エクスポージャーなどのディスコものが紹介された。これは実に楽しい。
そして休憩を挟み、いよいよレア盤La Fantastica「2001」やキューバ人ミュージシャンRoberto Torres「El Castigador」など、今回CD化されたアルバムからの曲紹介。確かにラテンとソウルの融合という点では共通点があるけれど、それぞれのテイストはかなり違っていて、やはりその辺りはミュージシャンの個性が出ていて面白い。
最後のコーナーはダンス・カルチャー、クラブ・カルチャーとラテン。私などはブラック・ミュージックの流れならある程度は知っているけれど、思いのほかそれらとラテン・ミュージックとのかかわりが深いことが判明。しかしこうした理解は、このところ岡本さんや伊藤さん、そしてアオラの高橋さんらの講演である程度知識が身に付いてきたので、以前ほど意外な感じはしない。
ともあれ、今回の岡本さん主導の講演は、前回の岡本さんによる「日本のラテン」に続く素敵なもので、ラテンとポップスの関係やアメリカにおけるラテン・カルチャーの動向を具体的な音源を元にして伝えてくれた貴重な体験だった、今後も私の知らないラテン世界の動きを伝える講演をお願いいたします。
岡本さん、伊藤さん、ありがとうございました!