• 第662回 6月22日 (土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代

『シングル盤で聴くフュージョン(全曲未CD化音源)』 フュージョンの時代、アメリカではラジオのオンエアが重要なプロモーションでした。しかしフュージョンは1曲の時間が長大で、そのままではオンエアしてもらえないことから、聴かせどころを3分に凝縮したプロモ・オンリーの「シングル・エディット・ヴァージョン」が多数作られました。もちろんこれらはアルバムに収録されることはなく、役割を果たすとすぐに消えていきました。今回のイベントではそれらプロモ・シングルや、シングルだけでリリースされたフュージョンの音源を掘り起こして聴いていきます。それらはアルバム・ヴァージョンとは大きく印象の異なるものばかりです。オリジナルを知っている人ほど大きな驚きがあることでしょう。 同時代ということで、キース・ジャレットECM珍し盤もかけます。 -------- 以下はプレイリストの一部(予定)。いずれも「シングル・エディット・ヴァージョン」で、未CD化の音源です。一部モノラル・ヴァージョンもあります。 *パット・メセニー:「アー・ユー・ゴーイング・ウィズ・ミー」「ジェイムス」「ヨランダ・ユー・ラーン」 *ウェザー・リポート:「バードランド」「リヴァー・ピープル」「ダラ・ファクター・トゥー」「ヴォルケイノ・フォー・ハイア」「ブギウギ・ワルツ」 *ハービー・ハンコック:「ハングアップ・ユア・ハングアップス」「カメレオン」「バタフライ」「スパンクアリー」 *チック・コリア「スペイン」「セントラル・パーク」 *グローヴァー・ワシントン・ジュニア「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」「ワインライト」 *ブレッカー・ブラザーズ「ドント・ストップ・ザ・ミュージック」「スニーキン・アップ・ビハインド・ユー」 *デイヴ・グルーシン「ラグ・バッグ」 *マイルス・デイヴィス「ファット・タイム」「シャウト」「タイム・アフター・タイム」 *マンハッタン・トランスファー「バードランド」 *キース・ジャレット「アンコール・フロム・ザ・ケルン・コンサート」(2:40 version/4:10 version) ------

                             解説 池上信次

 

 

 

 

 

  • 第663回 7月20日 (土曜日)午後3時30分より

タイトル未定『新著発売記念イヴェント』

 

*詳細は追って告知いたします。

 

                     解説 関口義人 他 ゲストあり

            

 

 

 

 

 

 

 

  • 第664回 7月27日(土曜日)午後3時30分より 参加費1200円+飲食代金

『2019年のLIVE UNDER THE SKY』  

 

夏が来れば思い出す・・・。1980年代の東京のジャズ・ファンにとって、7 ⽉最終の⼟⽇2⽇間は、よみうりランドの「オープンシアターEAST」という 聖地巡礼のための時でした。ライブアンダーでシーンの「最前線」を体感し、 8⽉の斑尾やMt.Fujiでノホホンと「ノスタルジー」を楽しむ。30数年前に は、そんな幸せな「夏時間」がありました。 1977〜1981年@⽥園コロシアム、そして1983〜1992年@オープンシアタ ーEASTと計15回開催された「LIVEUNDERTHESKY」。伝説のVSOPク インテットやマイルス、ロリンズ、オーネット、サン・ラ、ハービー、チッ ク、メセニー、サンボーン、ギル・エヴァンスwithジャコ、さらにロバータ・ フラッグ、ミルトン・ナシメントブラック・ウフルなど、その多彩なライン ナップはまさしくプロデューサーであった鯉沼俊成⽒の慧眼の証でした。イベ ント・タイトルにあえて「ジャズ」という⾔葉を付さなかったこ画期的マーケ ティング思考や⼤胆な演出やメディア・ミックスetc.、ライブアンダーに出会 ったからこそ⾳楽の仕事に就いたという⼈間は私を含めて⼤勢います。 当⽇は取材等でライブアンダーの出演アーティスト達と幅広く接してこられた 池上⽐沙之さんをゲストに迎え、マイルスを筆頭に様々なエピソード・トーク を交えながら、公式ライブ・アルバムやTVオンエア映像であの熱気を追体験 していきます。秘蔵⾳源や貴重なお宝グッズの開陳、さらに参加者の皆さんへ のプレゼント資料もご⽤意しております。どうぞ、ご期待ください! あの夏の⽇の感動が、いーぐるに蘇る!

 

トーク:Moto上原(元SMEジャズ・ディレクター) ゲスト:池上⽐沙之(⽂筆家)

 

 

                          

【「ジャズ評論」についての雑感~その2】

 

 

柳楽光隆さんの「日本ジャズ評論史における寺島・後藤の功罪」、そして「後藤さんはD.J.的だ」というツイッター発言に触発され、思いつくまま感想を書き連ねてみます。前回は、寺島靖国さんにしろ私にしろ、ジャズ喫茶店主たちが1980年代後半にジャズライターとして注目されたのは、私たちが「業界利害」の圏外にいたことが大きかったこと、そしてジャズ喫茶のレコード係は、本質的に「編集者」的スタンスに立っていることが「D.J.的」であることに繋がるという話をしました。今回はその続きとして、私の「D.J.体験」を思い出してみようと思います。

 

私が「D.J.的」であることを自覚したのはずいぶん後になってからで、最初に(無意識のうちに)「D.J.的発想」を学んだのは必要に迫られてのことでした。右も左もわからないままジャズ喫茶を始めてしまったので、最初に困ったのは「選曲」でした。幸いジャズに詳しい友人、故茂木信三郎君がアルバムのセレクトはしてくれたので、少ないながらマイルス、コルトレーンエヴァンスといった「ジャズ喫茶常連連中の名盤」こそ最低限度揃えたとはいえ、それらをどういう順序でかけたらよいのかはまさに暗中模索。

 

そういう時は先人に学べで、とりあえずジャズ喫茶先達の老舗を探訪したのですが、名店「DIG」は常時リクエストが殺到しており、コルトレーンのインパルス盤など60年代当時の「人気盤」を知ることは出来たのですが、おそらくはリクエスト順を原則にアルバムをかけている様子で、率直に言って「選曲」そして「順番」の学習には不向きのような気がしました。

 

そこで目を付けたのが「DIG」のレコード係で鍛えられた鈴木彰一さんが独立し、渋谷道玄坂小路で開いた名店「ジニアス」です。この店は鰻の寝床のように細長く、レコードブースの向かい側に新譜が掲示されていたのですが、私はいつもかかっているアルバムが見えないようにブースに背を向け、新譜の壁を眺めるようにして座席に着きました。これはジャケットを見ないでプレイヤーを当てる「ブラインド」の訓練のためです。

 

ちなみにジャズ喫茶業界では、この「ブラインド能力」が業界内ヒエラルキーに大きな影響を与え、「Meg」寺島さんはいつも私に「後藤ちゃん、このテナー誰だかわかる」などと質問し「わからなきゃジャズ喫茶の看板外してもらおうか」などと挑発するのでした。そして実際ジャズ喫茶開業は私の方が早かったのですが、「耳で鍛えたテラシマさん」のブラインド能力に、新米店主の私は全く歯が立たなかったのです。

 

柳楽さんに言わせれば、寺島さんもまた「D.J.的」ということになるのですが、氏の「ブラインド的耳の良さ」は、D.J.的である必須条件のような気がいたします。付け加えれば、現在はどう考えておられるのかわかりませんが、当時寺島さんは「ジャズ史」的な事実関係にあまり興味がないようで、いわゆる「評論家的言説」に対して明確に拒絶反応を示していました。こうした一連の「傾向」を要約すれば、「頭で聴くジャズ」に対する反発とでもなるでしょうか。つまりはD.J.的である要件に「耳で聴くジャズ」であることが挙げられるでしょう。

 

当時私たちはまさに「紙のプロレス」ではありませんが「テラシマ vs ゴトー」の対立がジャズ雑誌等で面白おかしく喧伝され、私自身寺島さんの対極に位置していると思い込んでいたのですが、今になってみれば、この図式自体が名プロデューサー寺島さんの掌の上での踊りであったばかりでなく、実のところ私もまた大きな眼で見れば「テラシマ的」な傾向、つまりD.J.的発想の持ち主だったようです。要するに標榜する価値観こそ異なれ、二人は共に「耳派」に属していたのです。

 

それはさておき「ジニアス体験」に話を戻すと、毎週のように通ううち面白いことに気が付きました。既に知っているアルバムが実に活き活きと聴こえるのですね。もちろんそれはヴァイタボックス改造の迫力あるスピーカーのせいもあるのですが、どうやらそればかりではないようなのです。具体的に言うと、アルバムの出だしが実にカッコよく聴こえるのですね。そうなれば当然そのアルバム自体の評価が高く感じられるものです。

 

最初は不思議に思っていましたがそのうち理由が解りました。それは「前後関係が聴こえ方に影響している」というシンプルな事実です。これは食べ物のことを考えればわかりやすいでしょう。コース料理が出す順序でそれぞれの味を引き立てているように、例えばコルトレーンの熱狂的演奏の後にバレルのブルージーなギターがかかれば、その「対比」によって両者ともに良さが引き立つという仕掛けです。

 

評論家的スタンスなら、ケニー・バレルのウォームかつブルージーな演奏はそれ自体で評価されるべきでしょうが、ジャズ喫茶における実際の聴取体験で重要なのは、この演奏が例えばコルトレーンなどの刺激的アルバムの後に登場することによって、「より価値が増す」という「D.J.的事実」なのですね。こうした実践的なテクニックは、いくら「ジャズ史」に詳しくとも学べません。まさに「ジャズ喫茶的ジャズ観」と言っていいでしょう。

 

(続く)

 

 

 

【「ジャズ評論」についての雑感~その1】

 

 

私にとって最新ジャズ動向の重要な情報源の一人である柳楽光隆さんがツイッター上で、「ジャズ評論史」という観点から寺島靖国さんや私についていろいろと面白い分析をされているようなので、「ジャズ評論」について個人的雑感をメモ的に書いてみます。

 

まず、1980年代後半に寺島・後藤がセット販売のようにして既成ジャズ評論家とは一味違ったジャズライターとして登場したのは、私たちが共にジャズ喫茶店主という、レコード会社やジャズメディアの意向に左右されず自由に発言できるスタンスにいたことが一番大きな要因でしょう。

 

当時、毎月相当数の新譜・旧譜を発売していたレコード会社のライナーノートを主な収入源としていた既成ジャズ評論家は、当然レコード会社の意向には逆らえません。また、私たちジャズ喫茶店主は、まだジャズメディアで大きな力を持っていた『スイングジャーナル』誌とも広告主として対等な付き合いをしていたばかりでなく、レコード会社の提灯的な同誌の記事に対しては批判的な立場の店主が多かったのです。

 

とは言え、そのスイングジャーナル誌の編集長であった中山康樹さんが、私たちジャズ喫茶オヤジをライターとして起用した時は正直ちょっと驚きましたが、後に氏の述懐によれば、「既成ジャズ評論家の書くものがちっとも面白くないから、ジャズ喫茶オヤジの歯に衣を着せぬ発言が欲しかった」と言っているのですね。編集者としての中山さんの懐の深さを示しています。

 

そうした状況の下、寺島さんは持ち前の優れたサービス精神と卓越した文章力によって、ジャズ本としては異例とも言える十万部越えのヒット作『辛口ジャズノート』を発表され、一躍ジャズシーンのトップに躍り出たのです。

 

寺島さんの活躍のおかげで、私はまさに「柳の下の2匹目の泥鰌」として最初のジャズ本『ジャズ・オブ・パラダイス』を上梓することが出来、これも文庫化を含めれば5万部近い発行部数を数え、その余波を駆って書き下ろした講談社現代新書の『ジャズの名演・名盤』は2度の改訂版を含め、10年以上に及ぶ累積十万部を超すロングセラーとなりました。

 

こうした経緯を振り返れば、柳楽さんがおっしゃる通り、当時「ジャズ喫茶オヤジ」がジャズ評論界に一石を投じたのは間違いないでしょう。

 

また、柳楽さんが私のことを「D.J.的」と評されているようですが、これも納得です。一部のジャズファンはD.J.のことを、「自分は何も作らないで他人の音楽を消費する」と批判的に見ているようですが、これは若干近視眼的な発想ではないでしょうか。

 

例えば編集者のことを、自分は書かないで作家に書かせていると批判したら、もののわかった方なら、「それは違うよ」とすぐに理解されるのではないでしょうか。ジャズ喫茶のレコード係は、編集者が作家と読者の好ましい中継ぎをするように、ジャズファンとジャズの仲立ちをしているのですね。

 

D.J.も素材や「場」こそ異なれ、音楽と聴き手の仲立ちをしているということではジャズ喫茶レコード係と変わらず、また、「作品」と「受け手」の中継者という視点で眺めれば、編集者、ジャズ喫茶レコード係、クラブD.J.は、みな同じスタンスでそれぞれの仕事をこなしているのです。

 

とは言え、編集者やジャズ喫茶レコード係が文芸作品やジャズに対し、それ相応のリスペクトを抱いているのに対し、果たしてクラブD.J.はその辺りどうなのだろうという疑問はあるのかもしれません。1990年代、UKクラブシーン発の「踊れるジャズ」が日本にも流入し、アシッドジャズであるとかクラブジャズなどと通称されていたようですが、D.J.によって紹介されたこうした「ジャズ」は、伝統的な“ジャズ”の文脈から切り離され「踊れるかどうか」という「新基準」で価値判断されていたことが前出の「疑問」に繋がるのでしょう。

 

確かに1940年代半ばにチャーリー・パーカーによって発明された“ビ・バップ”以降の「モダンジャズ」の文脈から眺めれば、「踊れる」という価値基準はいささか異様とも受け取れるのかもしれません。しかしそれはまさにジャズ史を近視眼的にしか見ていないことから起こる錯覚ではないでしょうか? 

 

“ビ・バップ”以前に猖獗を極めたスイング・ブームにおける花形ビッグバンドは、ダンスバンドとしての機能も果たしていたのですね。また、従来「芸術ジャズ」と思われていたパーカー・ミュージックで踊るシーンが、熱心なパーカー・フリーク、クリント・イーストウッド監督の映画『バード』の中に描かれていたことも、忘れてはいけないでしょう。

 

(続く)

 

  • 第660回 5月25日(土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代金

 

アメリカン・ビッグバンド・サウンド

昭和モダン流行歌との奇妙な関係』

 

ビッグバンド・ジャズの歴史的名演を復刻した

羽毛田耕士バンドの映像をたどり、

併せてそのサウンドが「昭和モダン流行歌」に与えた

興味ある影響を探ります。

 

―ききどころ―

 

①2018年9月練馬文化センター開催の「ビッグバンド・ジャズの魅力のすべてコンサート」は羽毛田耕士指揮編曲によりスウィングからモダン、現代までの代表曲をサウンドからソロ、ヴォーカルに至るまで忠実に復刻。その代表曲を映像でたどります。ヴォーカルは紗理が担当しアニタ・オデイエラ・フィッツジェラルドの唱法をスキャットを含めて巧みに表現しています。

 

②「昭和モダン流行歌」(瀬川昌久企画コロムビア・レコードCD2枚組アルバム)には服部良一や似木他喜雄のアレンジでスウィングからバップ・スキャットに至る唱法を演奏や唄に巧妙にとり入れた曲が多数収録されています。

 

講演:瀬川昌久(ジャズ評論家)

 

 

 

 

  • 第661回 6月8日(土曜日) 午後3時30分より 参加費1200円+飲食代金

デトロイト・ジャズ・フェスティヴァルへの誘い〜2018年の報告と19年の展望』

8月末から9月初めの4日間、レイバーデイの週末に開催される「デトロイト・ジャズ・フェスティヴァル」は、一流ミュージシャンが4つのステージに次々に登場し、しかもすべてのステージを無料で鑑賞できる稀有なジャズフェスティバルです。2010年から同フェスを撮影・取材している常盤武彦が、スライドショーと関連音源で、デトロイト・ジャズ・フェスティヴァルの魅力、2019年の同フェスティヴァルの見どころを語ります。ゲストは昨年同フェスを取材した村井康司。昨年同時期にデトロイトで執り行われたアレサ・フランクリンの葬儀の様子もレポートします。

出演  常盤武彦(フォトグラファー、ジャズ・ジャーナリスト)

 ゲスト 村井康司(音楽評論家)

 

 

 

  • 第662回 6月22日 (土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代

『シングル盤で聴くフュージョン(全曲未CD化音源)』 フュージョンの時代、アメリカではラジオのオンエアが重要なプロモーションでした。しかしフュージョンは1曲の時間が長大で、そのままではオンエアしてもらえないことから、聴かせどころを3分に凝縮したプロモ・オンリーの「シングル・エディット・ヴァージョン」が多数作られました。もちろんこれらはアルバムに収録されることはなく、役割を果たすとすぐに消えていきました。今回のイベントではそれらプロモ・シングルや、シングルだけでリリースされたフュージョンの音源を掘り起こして聴いていきます。それらはアルバム・ヴァージョンとは大きく印象の異なるものばかりです。オリジナルを知っている人ほど大きな驚きがあることでしょう。 同時代ということで、キース・ジャレットECM珍し盤もかけます。

 

以下はプレイリストの一部(予定)。いずれも「シングル・エディット・ヴァージョン」で、未CD化の音源です。一部モノラル・ヴァージョンもあります。

パット・メセニー:「アー・ユー・ゴーイング・ウィズ・ミー」「ジェイムス」「ヨランダ・ユー・ラーン」 *ウェザー・リポート:「バードランド」「リヴァー・ピープル」「ダラ・ファクター・トゥー」「ヴォルケイノ・フォー・ハイア」「ブギウギ・ワルツ」 *ハービー・ハンコック:「ハングアップ・ユア・ハングアップス」「カメレオン」「バタフライ」「スパンクアリー」 *チック・コリア「スペイン」「セントラル・パーク」 *グローヴァー・ワシントン・ジュニア「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」「ワインライト」 *ブレッカー・ブラザーズ「ドント・ストップ・ザ・ミュージック」「スニーキン・アップ・ビハインド・ユー」 *デイヴ・グルーシン「ラグ・バッグ」 *マイルス・デイヴィス「ファット・タイム」「シャウト」「タイム・アフター・タイム」 *マンハッタン・トランスファー「バードランド」 *キース・ジャレット「アンコール・フロム・ザ・ケルン・コンサート」(2:40 version/4:10 version) ------

 

 

                             解説 池上信次

 

 

 

 

 

  • 第663回(現時点での暫定的回数です) 7月27日(土曜日)午後3時30分より

 

仮タイトル『2019年のライヴ・アンダー』

 

1977年から1992年まで開催され、日本のジャズシーンに多大な影響を与えた伝説的ジャズ・イヴェント「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」関係者が、この歴史的イヴェントを回顧する興味深い講演です。

 

なお、詳細は追って告知いたします。

 

                            解説 上原基章

  • 予約受付中

 

『ジャズ講談とライヴ映像でカークに酔え!』

 

5月11日(土) 開場:14時 開演:15時 終演:17時頃 進行:林 建紀

予約制(メール申し込み、詳しくは後述) 全席自由席(来場順)

入場料:2000円(税込) 当日、受付でご人数分をお支払いください。

飲食代:別途 退場時にレジでお支払いください。

 

第1部 ライヴ映像 「ローランド・カーク・ライヴ・アット・モントルー1972」

第2部 ジャズ講談 旭堂南湖ローランド・カーク一代記」

 

第1部では数あるカーク・ライヴの最高峰であるばかりかジャズ史上の傑作ライヴとして名高いライヴ映像「ライヴ・アット・モントルー1972」をノーカット(50分)でご覧いただきます。カークの疾風怒涛のパフォーマンスを迫力の大画面とサウンドでご堪能ください。

 

第2部では関西講談界の雄、旭堂南湖先生をお招きしてジャズ講談「ローランド・カーク一代記」を関東では初上演となるロングバージョン(30分)でお聞きいただきます。卓越した話芸により活き活きと描き出すカークの波乱の生涯をお楽しみください。

 

※開場から終演まで全面禁煙(紙巻きタバコも電子タバコも)とさせていただきます。

 

【ご予約】

※定員になり次第締め切りますので、必ずご予約ください。

※メールの件名に「イベント予約」、本文に「ご氏名、フリガナ、ご人数」をご明記のうえ、

 infotec@cyber.ocn.ne.jpまでご送信ください。12時間以内に予約確認メールをご返信します。

※12時間以内に返信のない場合は送信先/送信元アドレスや受信拒否設定をご確認ください。

※予約に関する当店へのお問い合わせはご遠慮ください。

 

 

いーぐる  新宿区四谷1-8ホリナカビルB1F 3357-9857

 

 

 

  • 第660回 5月25日(土曜日) 午後3時30分より 参加費800円+飲食代金

 

アメリカン・ビッグバンド・サウンド

昭和モダン流行歌との奇妙な関係』

 

ビッグバンド・ジャズの歴史的名演を復刻した

羽毛田耕士バンドの映像をたどり、

併せてそのサウンドが「昭和モダン流行歌」に与えた

興味ある影響を探ります。

 

―ききどころ―

 

①2018年9月練馬文化センター開催の「ビッグバンド・ジャズの魅力のすべてコンサート」は羽毛田耕士指揮編曲によりスウィングからモダン、現代までの代表曲をサウンドからソロ、ヴォーカルに至るまで忠実に復刻。その代表曲を映像でたどります。ヴォーカルは紗理が担当しアニタ・オデイエラ・フィッツジェラルドの唱法をスキャットを含めて巧みに表現しています。

 

②「昭和モダン流行歌」(瀬川昌久企画コロムビア・レコードCD2枚組アルバム)には服部良一や似木他喜雄のアレンジでスウィングからバップ・スキャットに至る唱法を演奏や唄に巧妙にとり入れた曲が多数収録されています。

 

講演:瀬川昌久(ジャズ評論家)

 

 

 

 

  • 第661回 6月8日(土曜日) 午後3時30分より 参加費1200円+飲食代金

デトロイト・ジャズ・フェスティヴァルへの誘い〜2018年の報告と19年の展望』

8月末から9月初めの4日間、レイバーデイの週末に開催される「デトロイト・ジャズ・フェスティヴァル」は、一流ミュージシャンが4つのステージに次々に登場し、しかもすべてのステージを無料で鑑賞できる稀有なジャズフェスティバルです。2010年から同フェスを撮影・取材している常盤武彦が、スライドショーと関連音源で、デトロイト・ジャズ・フェスティヴァルの魅力、2019年の同フェスティヴァルの見どころを語ります。ゲストは昨年同フェスを取材した村井康司。昨年同時期にデトロイトで執り行われたアレサ・フランクリンの葬儀の様子もレポートします。

出演  常盤武彦(フォトグラファー、ジャズ・ジャーナリスト)

 ゲスト 村井康司(音楽評論家)

 

 

 

 

  • 第662回(現時点での暫定的回数です) 7月27日(土曜日)午後3時30分より

 

仮タイトル『2019年のライヴ・アンダー』

 

1977年から1992年まで開催され、日本のジャズシーンに多大な影響を与えた伝説的ジャズ・イヴェント「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」関係者が、この歴史的イヴェントを回顧する興味深い講演です。

 

なお、詳細は追って告知いたします。

 

                            解説 上原基章

小学館『CD付き隔週刊ムック』シリーズ終了にあたって】

 

私が監修する2014年3月に始まった小学館のCD付き隔週刊ムック『ジャズ100年』は、現在発売中の『JAZZ絶対名曲・令和のジャズ』で無事終了いたしました。刊行期間5年2ヵ月に渡り、シリーズ総計118巻、全1008曲収録、発行総数282万9300部という、ジャズ本としては異例とも思える大部数をお届けすることが出来、ご購読いただいた多くの読者の皆様に心からの感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

 

マイナー・ジャンルと思われていたジャズが、これほど長期に渡り多くのファンのご支持を得られるとは思いもよらないことでした。シリーズ開始当初、億を超す広告宣伝費を聞き、内心「やめた方がいいんじゃない」と思ったものでした。初版4000部が完売できれば御の字というジャズ本業界を知る身にとって、4大紙への全面広告、TVコマーシャルを打つなど、「暴挙」としか思えなかったのです。

 

しかし、そうした「ジャズ内常識」が杞憂に終わっただけでなく、当初1年間26冊の刊行予定が、シリーズ開始早々好調な売れ行きのため翌年も続編刊行という小学館上層部の決定が下され、私としてはまさに狐につままれた思いながら2週間ごとに10000字の執筆ノルマを粛々とこなしてきたのでした。そして好評は翌年も続き、続編・続編の繰り返しで5年を超すロング・シリーズとなったわけです。

 

ジャズファン、そして潜在的ジャズファンは私などが想像する以上に多かったのです。いや、これは「多くなって来た」という方が正しいのかもしれません。思えば本シリーズが始まった同じ年、「J.T.N.C」と略称されたニュースタイルの不定期刊行ムック『ジャズ・ザ・ニュー・チャプター』(シンコーミュージック)が、現在ジャズシーンの第一線で活躍中の柳楽光隆さんによって立ち上げられ、音楽を柔軟かつ幅広い視点で捉える若年層の大きな支持を集めたのでした。

 

「J.T.N.C」はその後も順調に新たな読者層を取り込み、現在Vol.5まで刊行されていますが、これはとりもなおさず、現在活性化しているジャズシーンを背景とした新たなジャズファン層拡大の具体的な現れでしょう。「J.T.N.C」のコンセプトを私なりに要約すれば、「新世代のジャズ紹介本」ということになろうかと思います。

 

それに対し、私が監修した小学館シリーズの基本コンセプトは、創刊号のタイトル通り『JAZZ 100年』でした。これは2017年が1917年の初ジャズ録音から100年目に当たることを念頭に置いたもので、100年を超すジャズ史を総攬しつつ、ジャズ入門者、そして潜在的にジャズに関心を持っている新たなファン層を掘り起こそうというのが企画の狙いでした。

 

当初私は、創刊号『JAZZ 100年』の表紙がビル・エヴァンス、シリーズ第2弾『ジャズの巨人』Vol.1がマイルス・デイヴィスという売り方に象徴される小学館のオーソドックス路線に対し、「J.T.N.C」はロバート・グラスパーをフィーチャーした先鋭的ファン向けというように、共に新たなジャズファン層を開拓しつつも両誌は一種の「住み分け状況」なのだと理解していました。

 

しかし、シリーズ3弾目に当たる『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』が予想外の売れ行きのため延長・延長を繰り返し、2年間のべ52巻もの売れ行きを示したことで、ちょっと考え方が変わって来たのです。二つのムックが開拓した読者層は、表面的には異なっているように見えても、それを支えるジャズファン層の質的拡大という視点で眺めれば、何か共通する要素があるのではないか?

 

その答えはグラスパーの発言にありました。彼は、エリカ・バドゥなど多数のヴォーカリストが参加し話題となった2012年のアルバム『ブラック・レディオ』(ブルーノート)について、「従来のジャズ・ファンとそうでない人たちの懸け橋となればいいと思って作った」と言っているのです。

 

また、現在発売中の『ジャズ絶対名曲最終号・令和のジャズ』に収録したカマシ・ワシントンのキャッチーな楽曲「フィスツ・オブ・ヒューリー」は、ブルース・リー主演の映画『ドラゴン・怒りの鉄拳』の主題歌であり、その斬新な編曲も含めヴォーカル、コーラスがたいへんに魅力的です。

 

これらのことから窺い知れるのは、現代ジャズにおいてヴォーカルが大きく注目されているという事実です。従来、インストゥルメンタル・ジャズとジャズ・ヴォーカルは、暗黙の裡に分けられていたように思います。マイルス、コルトレーンエヴァンスといった「ジャズの巨人」たちのアルバムに、ヴォーカルが挿入されるようなケースはほとんどなく、また、エラ、サラ、カーメンといった人気ヴォーカリストのファンは、微妙にインスト・ファンと嗜好が異なっているように見えたのです。

 

それに対し、『令和のジャズ』に収録したカマシ・ワシントン、ロバート・グラスパー、ケンドリック・スコットといった代表的な現代ジャズ・ミュージシャンのアルバムには、例外なくと言っていいほどヴォーカルがフィーチャーされているのですね。つまり、『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』の予想外の売れ行きと、現代ジャズの動向は間違いなくリンクしている部分があるのです。

 

こうした「並行現象」を解く鍵は、やはり現代ジャズシーンを先導したグラスパーの先ほどご紹介した証言にあるように思います。彼の言わんとしたのは、要するにジャズにおいてもう一度ポピュラリティを見直そうということでしょう。

 

こうしたグラスパーの現代的「ジャズ観」に対しては、伝統的ジャズファンの間で異論もあるようです。要するに「これはジャズじゃない」というお馴染みの反発ですね。しかしそうした発想は、それこそ「JAZZ 100年」にも及ぶジャズ史全体に対する理解が不足しているところから来る、一種の思い込みと言っていいでしょう。

 

こうした方々の思い描く“ジャズ”のイメージは、実のところ「モダンジャズのイメージ」に過ぎないのですね。確かにパーカーに始まり、マイルス、コルトレーンと続く「ジャズの巨人の歴史」は華やかで実りも多く、私などもそこからジャズの魅力に取り込まれたのでした。

 

しかし今回より幅広い視野でジャズ史を総攬しつつ、多くの入門ファン、そして潜在的ジャズファンに向けわかりやすくジャズの魅力をお届けしようと執筆しているうちに、パーカーに始まるよく知られた「モダンジャズ史」は、1940年代末から60年代後半に至る高々20年ほどしか続かなかったのに対し、ルイ・アームストロングに始まりカマシ・ワシントンに至る「全ジャズ史」は、それに数倍する期間連綿と続いて来たことを改めて思い知らされたのです。

 

そもそもルイ・アームストロングはトランペットを通じ今に続く“ジャズ”の大元を築いたジャズの巨人ですが、彼はジャズ・ヴォーカルの開祖でもあり、また、ジャズの世界的普及に尽力した人物であることを忘れてはいけません。また、スイング期のビッグ・バンドには、必ずフランク・シナトラに象徴される華やかな「バンド歌手」がおり、インスト・ジャズとジャズ・ヴォーカルは一続きのものとして人々に受容されていたのです。

 

つまり、天才パーカーによって一気に芸術度数が上がる前の“ジャズ”は、親しみやすいヴォーカルの存在に象徴されるポピュラリティがより重視されていたのですね。また、“モダンジャズ”の行き詰まりを肌で感じたマイルスがエレクトリック・ジャズを創始した動機の一つに、「若い黒人層に自分の音楽を聴いてほしい」という切実な願いがあったことも忘れてはいけないでしょう。これもまた、マイルス流ポピュラリティの追求と言っていいでしょう。

 

こうしたジャズ史的事実を思い起こせば、グラスパー、カマシらのヴォーカルを重視した新世代ジャズは、表面的にはいわゆる“モダンジャズ”とずいぶんイメージが異なっていたとしても、より幅広いスパンで眺めれば、伝統的ジャズの文脈に見事に収まっているのです。

 

現在発売中の『令和のジャズ』では、こうしたこと、つまり現代ジャズの特質が伝統的ジャズの文脈に収まりつつも、明らかに新たなデイメンションに突入しつつあることを具体的音源を示しつつわかりやすく解説いたしました。

 

 

なお、既刊シリーズのうち『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』は現在「楽天ブックス」でかなりお得な価格でセット販売されています。

 

CDつきマガジン『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』前編セット(創刊号~第26

号、特製CD収納ケース&特製ファイルボックスつき)

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CDつきマガジン『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』後編セット(第27号~第52

号、特製CD収納ケース&特製ファイルボックスつき)

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…とかなりお得です。前編26巻後編26巻でそれぞれ参考小売価格が、35,924円のところ税込み25,000円ですので、なんと 10,924円(30%)OFF! なのです。前編・後編共に購入すれば、21,000円以上安い。しかもCD収納ケース&特製BOXつき。

 

お買い逃がした方はこの機会に是非どうぞ!

●第659回『いーぐる連続講演』 4月20日   

 

1969年のジャズを聴く―ジャズの50年は長かったのか?

 

選曲リスト 村井康司

 

1.I Say A Little Prayer     Roland Kirk   “Volunteered Slavery”(Atlantic)

 

2.Hold On, I'm Comin'” Herbie Mann    “Memphis Underground” (Atlantic)    

      

3.My Back Pages     Keith Jarrett Trio   “Somewhere Before”(Voltex)      

      

4.New Ghosts   Albert Ayler   “New Grass”(Impulse!)

 

5.I Think It's Going To Rain Today   Nina Simone   “Nina Simone And Piano!”(RCA)

 

6.Extrapolation     John McLaughlin   “Extrapolation”(Polydor)

           

7.The Creator Has a Master Plan Pharoah Sanders   “Karma” (Impulse!)

 

*Intermission: Jimi Hendrix played at Woodstock Music and Art Festival  

         

8.In A Silent Way/It's About That Time Miles Davis   “In A Silent Way”(Columbia)

 

9.Black Narcissus   Joe Henderson   “Power To The People”(Milestone)

   

10.Emergency Tony Williams   “Emergency!” (Polydor)

                           

11.Throb     Gary Burton     “Throb ” (Atlantic)

                   

12.Walking In Space Quincy Jones   “Walking In Space”(CTI/A&M)  

              

13.People In Sorrow (Part1) Art Ensemble Of Chicago   “People In Sorrow”(Pathe)

 

14.Yasmina, A Black Woman   Archie Shepp   “Yasmina, A Black Woman”(BYG)

   

15.Der Zweig Von Salzburg 佐藤允彦トリオ   “Palladium”(Express/Toshiba)    

 

16.グガン   山下洋輔トリオ         “ミナのセカンドテーマ”(Victor)