8月13日(金)
日経新聞の文化欄に連載中の『JAZZ ジャケット アート十選』、6回目のマイルス・デイヴィス『アガルタ』(Columbia)で折り返し点を迎えた。ジャケット・デザインについては門外漢なので果たしてどんなものかと思ったが、今日店の常連さんから「なかなか面白いですよ」と言っていただいてちょっとホッとした。
演奏について書くことは慣れているが、ビジュアルについては初めてなので手探りでやってみたのだけど、なかなか難しいものだ。しかしこうした注文も受けてみると、いろいろと勉強になる。キースの『スタンダーズ・ライヴ』(ECM)のドローイングがフランツ・カフカの日記からとられたことなど、今回データを調べて、「あ、そうなのか」と思った次第。
それから特に意識したわけではないが、日本人アーティストが思いのほか多いのだ。まず、今日のマイルスのジャケットは横尾忠則の作品。そして、8回目掲載予定のシャノン・ジャクソン『マン・ダンス』(Antilles)は吉田カツと石岡暎子のコンビ。9回目ヘンリー・スレッギル『トゥー・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム』(Axiom)が大竹伸郎で、これは2006年に東京都現代美術館で開かれた『全景』展で見た実物の迫力に圧倒されたものだった。
また、最終回のジム・ブラック『ハウス・プラント』(Winter & Winter)は、このところオークションでの高値の落札が話題となった奈良美智。10枚のジャズ・ジャケットをデザインという視点(そしてもちろん演奏内容も)で選んだら、4枚も日本人作家が入ったと言う事実にはちょっと驚いた。
拙著『一生モノのジャズ名盤500』(小学館新書)は、村井さんのグッド・ネーミングのせいか売れ行きはまずまず好調のようで一安心。今ちょっとアマゾンのランキングを覗いてみたら(瞬間風速ですが)689位で、ジャズ本では1位だった。ありがたいことです。お買い上げいただいたみなさまにこの場を借りて厚く御礼申し上げます。