4月19日(土)
濱瀬さんと成田さんによる対談形式のブラジル“ミナス派”の音楽、いろいろと思うところがあった。まず、これは濱瀬さんの審美眼によるところが大きいと思うのだが、すべての音源のクオリティが非常に高い。また、“ミナス派”とくくられるだけあって、さまざまなミュージシャンの音楽のテイストに明らかな統一感が感じられた。
この件に関しては、打ち上げの席で成田さんから聞いたところによると、かなりメンバーが重複しているので、音楽の傾向が似ているのはある意味で当然とのこと。それにしても私などほとんど知識の無い“ミナス派”などという講演会に、果たしてどれほどの音楽ファンが関心を持つものかといささか危惧していたのだが、大違い。客席は満杯で臨時の椅子をいくつも追加するほど。
この盛況ぶりは第一に、私などジャズ周辺音楽にしか知識の無い人間の知らないところでシーンが動いていることの証拠だろう。いい勉強になりました。また、濱瀬人気も相当に影響しているとみた。そして、今回裏方さんとして活躍した花田さん、江利川さんの、良い音楽を幅広く紹介したいという情熱が、多くの音楽ファンに通じたと言うことでもあると思う。
私なりの“ミナス派”の音楽に対する拙い感想を述べると、大枠はボサ・ノヴァの延長のようなテイストだが、その洗練の度合いはハンパじゃない。極めて上質かつ高度。そして噂のアントニオ・ロウレイロ、これは凄い。しかしいわゆる“ラテン・ミュージック”に私などが抱いているイメージとは少々違って、音楽の持つ“温度感”はかなり低い。同じブラジル音楽でも、サンバの熱いリズムとはだいぶ様子が違う。
ただ、こうした知的かつ洗練された音楽を最近の若い人が好むのはわからなくは無い。このインテレクチュアルな雰囲気は、21世紀になってからのニューヨークの一部のジャズの気分に通底するものがある。ともあれ、何でも聴いてみるといろいろと発見があるものだ。