『ジャズ耳の鍛え方』( NTT 出版 )   

発売 12月8日(水) 定価 1700円 + 税


テニスやゴルフの上達法の本は当たり前に見えるのに、ジャズの聴き方の上達法と言われると、首をかしげる人が多いのではないでしょうか。しかし、ジャズの聴き所を掴むテクニックは、スポーツの反復練習とよく似たところがあるのです。

これは、やはりスポーツの習得と似ている語学学習のことを思い浮かべていただければ、ご理解いただけるのではないでしょうか? テニスで壁打ちを繰り返すと、次第にボールをコントロール出来るようになりますが、繰り返し語学CDを聴くと、わからなかった単語が判別できるようになり、未知の外国語が生き生きとした意味を持ち始めます。

ジャズでも適切な手順を踏めば、同じようなことが起こります。初めてジャズに接したときには、ほとんど雑音としか思えなかったアドリブ・フレーズから、ちょっとした訓練によって、実に多様なミュージシャンの個性を聴き取ることができるようになるのです。

この本は、年季の入ったジャズファンが知らぬ間に身につけている、ジャズを楽しむ回路「ジャズ耳」の作り方、鍛え方を通して、ジャズという音楽の楽しさ、奥深さをご紹介すると同時に、ジャズの芸術性という問題にも深く切り込んで行きます。



第1章 ジャズとはどういう音楽なのか?
ジャズの重要な要素を六人のミュージシャンで総覧する/ジャズは演奏者の音楽/ルイ・アームストロングカウント・ベイシーデューク・エリントンチャーリー・パーカージャッキー・マクリーンマイルス・デイヴィス


第2章 ジャズを芸術音楽として捉えると何が見えてくるのか
文化現象としてのジャズ/大衆音楽と芸術音楽/ジャズにおける芸術性とは何か?/ジャズにおける“即興”の意味/芸術概念に対する私見/感覚が改変される体験/音楽の意味/パーカー体験でわかったこと


第3章 「ジャズ耳」とは
ジャズファン特有の感覚/「think」から/「ジャズ耳」実在の実感/ジャズの本質でもある“演奏性”について/“即興”の意味/クラシック、ポップスとの比較/アフリカン・アメリカンの身体感覚とヨーロッパ音楽の結合


第4章 ジャズの楽しみかた──「ジャズ耳」実践編
歌から入るジャズ入門/スタンダード・ナンバー聴き比べ/ブラインド・ゲーム/パーカー派、パウエル派、トリスターノ楽派/効果的アルバム・コレクション法/「聴いた感じ」に基づく分類法


第5章 “搦め手”からジャズの面白さに近づく
ジャズ・レーベルとプロデューサー/白人ミュージシャンVS黒人ミュージシャン または「黒さ、白さ」について/B級ということ=判官びいき海賊盤が照らし出したジャズの二面性/オーディオについて「CDか、アナログか?」