7月23日(土)

ともに1958年生まれの音楽評論家お二方、佐藤英輔さんと村井康司さんの対談形式の音楽談義、実に面白かった。まず、同い年生まれでも、佐藤さんと村井さんの音楽体験はけっこう異なっているのだ。これが興味深い。私たち団塊世代なら、思春期以降それぞれの音楽嗜好がロックファンとかジャズファンとか固まってからなら、当然守備範囲は異なるものの、子供の頃自然と耳に入る音楽は、アメリカンポップスにしろ歌謡曲にしろ、けっこう同じなのである。

いまどきの、多様性というか蛸壺化現象と言おうか、極端に細分化された音楽嗜好のありようならいざ知らず、私と10歳ぐらいしか違わない佐藤さん、村井さん世代でも、すでに「音楽的幼児体験」細分化現象の端緒が窺えるということなのだろうか。あるいは、お二方とも、プロの書き手となるようなハードマニアは、一般音楽ファンとは子供の頃から音楽の接し方が違うのだろうか。

とは言え、どちらがいいとか好きということではないのだが、村井さんの体験はけっこうわかるところがある。まあ、これは村井さんが10代の頃からいーぐるに出入りしていたのだから当然なのかもしれないが・・・

面白いのは、佐藤さんの「筋」が読めないのだ。エッ、こう来るのか、というオドロキが嬉しい。事前に佐藤さんと村井さんが相談して、お互いが薦めるものはあえて外すという事情があるのかもしれないが、それにしても佐藤さんの選曲は興味深い。

打ち上げの席でいろいろディープなお話を伺えば、ナルホド、そういうことなのかと大いに納得させられたが、ともあれ、万華鏡のような佐藤選曲は、一貫しつつユニークだった。詳しい選曲リストは後日アップされるので、それを眺めつつ、みなさま方、ご自身の音楽体験と照らし合わせてみていただきたい。