12月22日(金)
益子さんが店に現れる。益子さんが以前雑誌『ジャズ批評』に連載していた記事「ジャズ“けものみち”を往く」の主張が、今回ジム・ブラックを聴いて「実感として」分かったという話をする。だが、それを他の人に伝えるのは実に難しいということで益子さんと意見一致。しかし、それは絶対にやらなければいけないということも、お互いに確認。
詳しい内容は書ききれないが、ここ数年頭を悩ませていた「新譜問題」に対する明確な戦略が見えてきた。益子さん、感謝!

12月19日(火)
村井康司さんが「いーぐる掲示板」に、オリコンが一ライターに対して5000万円という途方もない損害賠償請求の訴訟を起こしたという情報を流してくれる。オリコンのチャートなど一度も見たことないし、訴えられた烏賀陽さんという方とも面識はないが、出版社抜き、話し合いもロクにしないで書き手を訴える(それも算定根拠も不明な高額賠償額で)という手法がまかり通るようになってしまえば、これは一大事だ。
資金力、組織力のある大手企業は、訴訟の勝ち負けの見通しに関わらず、企業にとってはさして腹は痛まないが個人にとっては膨大な(200万円以上)弁護士費用の負担を相手に負わすと脅すことで、訴訟の取り下げを条件に相手から譲歩を引き出せるという、実に悪質極まりない手法を「合法的に」行使できることになってしまう。活字に関わるものは、こういう状況を絶対に看過してはいけない。

12月18日(月)
忘年会で聴いた益子さんの2006年ベスト盤、Jim Black『Dogs of Great Indifference』(Winter & Winter)がえらく良かったので、以前注文しておいたMyra Melford『The Image of Your Body』(Cryptogramophone)を取りに行きがてら、新宿ディスクユニオンに買いに行く。ついでの購入盤は、忘年会で阿部ちゃんがかけたモブレイ『アナザー・ワークアウト』(Blue Note)。こちらはアナログ盤の音質が落ちたので再購入。かなり奇妙な取り合わせの買い物だが、すべてよろしい。
店に帰ると、ビクターエンタテインメントから『Driving Jazz』なるアヤシゲなサンプル盤が届いている。フツーこういうコンピものは店でかけないのだが、いちおうトレーに入れスイッチオンしてみると、なんとパーカーが出てくるではないか。アレッ、中身間違っちゃったかなと思いつつ聴いていると、2曲目はナント大好きなドルフィー《アウト・ゼアー》が咆哮する、エッと思うまもなくトラック3は、これまた愛聴のドルフィーフューチャリングジョージ・ラッセルの《エズ-セティック》じゃありませんか。
これはただ事ではないとライナーを覗けば、ナルホド、あの菊地成孔が選曲者だ。いい趣味してるよ。そして〆の曲はぐっとリラックスしてバーデン・パウエル。この緩急の付け方はまさにジャズ喫茶レコード係りのセンスだ。以前瀧口さんが、菊地の音楽がわかれば『メアリー・ジェーン』の選曲テクニックもわかるとナゾの言葉を残していったが、そういうことですか。
しかし、2管、ワンホーン、セクステットと来て、最後にギターで落ち着かせるというのは、「いーぐる」で日々やってることとほとんど同じで、それを基に『ジャズ選曲指南』(彩流社)なんて本まで書いてるぐらいだ、ほとんど売れなかったけど(八田さんが掲載アルバムの入手難易度という、実にマニアックな記事をブログに書いてくれている。ナミダが出るほどウレシイ)。