6月27日(金)

青土社の水木さん来店、関口義人さんと打ち合わせ。何でもジプシー本の第2弾が出るそうだ。関口さんは写真に凝っているのか、私と水木さんを撮っていった。オジさんたちの写真撮って、いったいどうするんでしょうか。


6月28日(土)

TV撮影があることはわかっていたが、まさかハイビジョンカメラが2台も入るとは。このところ韓国、オランダとTV取材が続いたが、どちらも手持ちカメラで30分も撮ってオシマイだったので、割合気軽に考えていたのがマチガイだった。気持ちを引き締め準備する。
といっても私は挨拶ぐらいで、気を使ったのは村井さんだろう。しかし彼は場慣れしているので、いつもとまったく変わらない。講演内容はちょっと地味目のトランペッター、ケニー・ホイーラー。もちろん知ってはいるけれど、系統立てて聴いたことは無い。いわゆる盲点だ。
今回、村井さんという格好のナヴィゲーターによって彼の演奏を系統的に聴いてみて、改めてホイーラーの特別なスタンスが見えてきた。彼、誰にも似ていないのですね。マイルスにもブラウニーにも。これは凄いことだと思った。
TVクルーはバッチリ3時間の講演全部を収録しただけでなく、そのあと村井さんに個人インタビュー、そして原田さん、須藤さんのコメントも撮っていった。後日私も話を聞かれるので、それまでに床屋に行っておこう。なんでも放映は8月5日(火曜日)夜7時から8時まで、BS-iの「音楽名店探訪」という番組だそうです、見てください。
いつもと違う状況だったので打ち上げもハイテンションで盛り上がり、店に戻ってからの雑談では昨今の不穏な世相やらなにやら、皆さんいつにないマジメな議論に終始した。私はといえば、哲学科出身の宮坂さんと浮世離れした唯識の話をし、長年探していた廣松渉と吉田宏哲の対談集「仏教と事的世界観」(朝日出版社)をお借りすることになる。それにしても、いまどきこんな本持っているとは面白い人だ。気に入った。


6月29日(日)

吉祥寺に「Under Cover Brothers」のライヴを見に行く。このソウル・バンドのリーダー古澤さんはメグミルクからブルーノート・カフェラテを出した人で、バンドは趣味。といいながらトランペット2本、テナーが二人に、リズムセクション、プラス二人のコーラスガール、アンド、セクシーなダンサーまでついた総勢十数人の大所帯。
マチュアとは言え、バックバンドがしっかりしているのでけっこう楽しめる。特に、おへそ丸出しのキュートなステージ衣装に、アフロヘアーの鬘までつけたコーラス隊はなかなかチャーミング。一瞬、大昔「ムゲン」で見たアイク・アンド・テイナ・ターナーの気合に入ったコーラスガールを思い出す。芸名? シスター・ターニャさんは古澤さんと一緒に店まで来てくれたなかなかの大柄美人。ファンも多いだろうなあ、、、ともあれ、アマチュアバンドは演奏している人たち自身が楽しんでいるのがこちらにも伝わってくるので、それがいい。
途中失礼し、カフェ「ズミ」で八田さんと待ち合わせ。それにしても「ズミ」の選曲は一貫している。覚えている限りで70年の高木、豊住、初期のイレーネ・シュバイツアー(FMPのシュバイツアー、けっこう好きだった)、カール・ベルガーなど、日本、ヨーロッパのフリーだ。だが、考え抜かれたオーディオのチューニングのせいで、音楽の表情はキチンと出しながら刺激的なところは微塵もない。ちょっと傾向は違うけれど「メアリー・ジェーン」の、迫力はありながらストレス感のない音と似ている。アヴァンギャルドを上手くかけるにはこうしたノウハウが必要なのだろう。ワイン、チーズがえらく美味く、ワイン好きチーズ好きには絶好の店だ。
八田さんと落ち合い、前にアタックして満員だったホルモン屋「和」に進撃。極上、激安のホルモンをたらふく食べ呑み、〆の卵かけご飯がこれまたファンキー。流行るわけだ。ワタシは焼酎、彼はサイダーでコンセプチュアル・アートについて雑談。世代違うも、同じようなことを考えているのだなあと思った。
帰りの電車で寝過ごし、市谷から徒歩で野球場沿いの遊歩道を戻ってくると、道端にウンコのようなものが落ちている。よく見ると蛙。何匹もいて、遊歩道だから良いもののふつうの道だと踏んづけられるぞと思っていると、一匹の蛙がミミズを飲み込んでいる。雨上がりに蛙が道端に出てくるのは食糧調達のためと勉強した。彼らは体張って飯を食っている、エライ。