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think08 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第8回

私がビートルズの音楽を一瞬にして「理解」できたということ。あえて理解という言い方をしたが、その理由をこの連載を読まれた方なら“理解”していただけるだろう。われわれは音楽にしろ絵画にしろ、〈感覚〉的対象から感動なり好感なりといったものを受け取…

think07 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第7回

この連載の最初に話したことを思い出していただきたいのだが、私がジャズを聴き始めたころの素朴な疑問として、「仮に感覚が万人共通ならすべての人がパーカーに感動するはずなのにそういう兆候はない。また、一人の人間の感覚が常に同じなら、今まで単なる…

think06 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第6回

虹の知覚が文化圏によって2色から7色までの幅があるという事実は、〈感覚〉の普遍性を否定している。つまり、当初の疑問のひとつ〈感覚〉は万人共通か? の回答は得られた。そこで次の疑問〈感覚〉は変化するのか? ということを考えてみよう。 19世紀の終…

think05 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第5回

かつてデューク・エリントンは、「音楽には良い音楽と悪い音楽しかない」という意味のことを言った。出典を確認していないのでどういう状況での発言かわからないが、恐らくクラシック音楽など伝統のある音楽ジャンルに比べ、まだ新興音楽だったジャズへの偏…

think04 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第4回 

私がこの考察で目指しているのは、たとえば、「メアリー・ジェーン」のマスターは「良い耳」をしている、だとか、有名なジャズ喫茶のオヤジがやたらホメているアルバムを買ってみたけれど、3日で下取りに出してしまった、というようなジャズ・ファンの日常会…

think03 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第3回

今エンピツで白い紙の上に長さ10センチの直線を描いてみる。これを直線Aとする。次にその下に同じく長さ10センチの直線を引き、これを直線Bと名づける。上からこれを眺めれば当然同じ長さに見える。 次に直線Aの両端から、長さ2センチほどの線を二本書き加…

think02 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第2回

まずもって僕らが使う日常会話を思い起こしてみよう。「あいつはいい感覚している」「彼女のセンスは抜群だ」、などというとき僕らは何を意味しているのか。それはたとえば、友人の音楽の好みがカッコ良いとか、TVに出てくるモデル上がりの女優さんの服装…

think01 -- ジャズを聴くことについての原理的考察 第1回

ジャズ喫茶という仕事を40年近く続けてきた。その経験を元に、ジャズを聴くということ、そしてジャズから感動を受けるということを少し厳密に考えてみようと思う。もちろん、こんなことはジャズを聴く上で特に役に立つわけではない。しかし、ジャズに対する…